第207話 奈落の底ダンジョンへ再突入

「グラン。じゃあ後の事は頼んだよ。」


「まかせるのじゃ。前みたいな事にはならんから安心するのじゃ。」


「よろしくね。僕達は魔王の核を取ってくるまで戻らないつもりだから。だいたい1カ月から2か月ぐらいかな。」


(魔法の開発もうまくいった。やっぱり付与魔法はラノベの王道だよね。コテージもうまく改造できたしこれなら大丈夫だよね。)


「うむ。セリーヌ達も強くなっておるし期待して待っておるぞ。」


「グラン。帝都をおねがいしますね。」


ダンジョンから帰還して1週間経ったので、クリフ達は再度奈落の底ダンジョンへ入る事が可能になっていた。食料やその他の日用品、アイテム類、セリーヌ達の服(主に夜用の)を準備して再突入の準備は万端だった。


クリフは、帝都の復興や婚約者達とイチャイチャ過ごす合間に、確実に奈落の底を攻略できるように2つの準備を行っていた。


一つは強化魔法の開発だ。クリフの中では強化魔法はゲームにおける基本と位置付けていた。クリフ自身は強化魔法でステータスを底上げしなくても十分強かった事もあり、開発する機会がなかったのだが、今回は魔族も関わっており、セリーヌ達の能力を上げる強化魔法はダンジョンを攻略する上でも必要になると思い、それぞれの能力上昇の強化魔法を開発させていた。


体力アップ、筋力アップ、敏捷アップ、知力アップ、魔力アップを複合したオールステータス上昇の魔法と、魔法の威力アップと、消費MPを抑えるマジックアップの魔法の2つを完成させていた。


(強化魔法を使えばセリーヌ達の能力は倍ぐらいまで上がる。60階層の大精霊フェニックスを倒してレベルが135まで上がってるから、実質レベル250ぐらいの力があるはず。まあ常時使える訳じゃないから、普段の感覚を忘れない様に使う所は気を付けないといけないかもしれないけど、安全に攻略できる方が僕としても安心だしね。)


グラン、ジャンヌ、ソフィア、スイム、クインに見送られてクリフ達は再度奈落の底ダンジョン60階層に来た。


「戻ってきたわね。さっさと攻略して戻りましょ。」


「ナリアの言う通りね。やっぱり地上の方が落ち着くわ。後40階層。頑張りましょう。」


「魔族もここに来てるかもしれないんですよね。気を付けないといけませんね。」


「みんなの言う通りだよ。早く攻略はしたいけど油断は禁物だよ。」


クリフ達は61階層に降りていく。


「61階層からは1階層からと同じ洞窟タイプね。クリフ。今日か魔法を掛けてくれる。普段とどれだけ動きが変わるのか慣れておかないと。」


ナリアの言葉に、クリフは3人にステータスアップの魔法とマジックアップの魔法をかけた。


「どう?とりあえず上昇効果は前説明した通りだけど?」


「クリフ様?この魔法はすごいです。力がみなぎってきます。」


「はい。私も今ならどんな魔法でも使えそうです。」


「私も身体がすごく軽い気がするわ。」


「多分1時間ぐらいは効果が続いてると思うけど、常時その状態ではないから気を付けて。」


(王道テンプレなら強化効果は永続だったり。能力10倍とかもあるんだろうけど、現実的にはこの辺が使いやすいな。よくよく考えれば能力10倍とか諸刃の剣だよな。上がった時も力に振り回されそうだし、元に戻ったら10倍の時の感覚と違って大変そうだ。)


「わかったわ。今日は強化魔法の効果を見ながら進んで行く感じでいいのよね?」


「うん。結局今までとやる事は変わらないよ。セリーヌ達のレベルを上げながら攻略していく。強化魔法の効果でサクサク進むとは思うけど、魔族が来ていたとしても僕達よりは進んでないだろうから焦らずに行こう。」


61階層からは洞窟タイプのダンジョンになっていたので、隊列は前衛にナリア、後衛にセリーヌとユーナ、中衛にクリフとなっている。周囲を警戒しながらゆっくりと進んでいくクリフ達だったが、出てくる魔物は、強化魔法のかかったセリーヌ達からしたら雑魚も同然だった。


61階層から70階層に出てくる魔物の強さはだいたいレベル70~80程だ。レベル135に付与魔法で能力が倍になっているセリーヌ達にとったら上級冒険者がゴブリンを倒すようなモノだった。


62階層への階段を見つけた所で、クリフ達はこの日の攻略を終えた。


「強化魔法の効果ってすごいわね。」


「そうですね。魔法の効果があるときと無い時の差が激しいから気を付けないといけないですね。」


「私もドラゴンを魔法1発で倒せるとは思いませんでした。」


「それが強化魔法の凄さだよ。バフは戦闘における基本だからね。うまく使えば戦闘の幅も広がるし便利でしょ。」


「クリフの言う通りね。明日からもこの調子でいきましょ。それより今日の攻略は終わりなんでしょ。早くコテージ出して。早く着替えたいわ。」


「うん。ちょっと待ってね。」


クリフは奈落の底ダンジョン再突入に当たって、コテージの中を改良していた。セリーヌ達から要望があったからだ。改良と言っても一つ一つの部屋を大きくし、お風呂を大きくしただけだが・・・


セリーヌ達は地上で女子会を開いてはああでもないこうでもないと、クリフに内緒で色々話合っていた。そして、ダンジョン内で色々するためにセリーヌ達は部屋に色々なモノを持ち込んでいた。


一緒に寝る時用のネグリジェや、襲いたくなるなるような下着。一緒にお風呂に入る為の水着。避妊具。などなど、クリフの知らない所でセリーヌ達は色々と計画を立てていたのだった。


そんな事を全く知らないクリフは、コテージを出し夕食の準備を始めるのだった。

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