第205話 一時帰還へ・・・帝国の状況は?
食事の準備をしながら、クリフは今後の事を考えていた。ちなみに今日の食事当番はクリフとセリーヌだ。
「クリフ様?ようやく60階層まで来ましたね。」
「そうだね。セリーヌ達ががんばってくれてるし順調だね。」
(奈落の底ダンジョンに来て1カ月ぐらいか・・・。セリーヌ達は順調に成長していってるし、一度戻ってもいいかもしれないな。帝国の状況も気になるし・・・。一度転移魔法陣を使うと1週間は再挑戦できないから、その間に、食料とか補充して・・・あっジャンヌとソフィアにナリアの事も伝えないといけないな・・・。)
「どうしたんですか。クリフ様?」
「いや、順調に進んでるし一度戻ってもいいかなって思ってね。僕達が無事かどうかも気になってるだろうし。」
「そうですね・・・。でも一度帰還すると1週間は再挑戦できないんですよね?」
「うん。でも帝国の状況も気になるしね。元々帝国の為にダンジョンには挑戦してるんだし、ダンジョン挑戦中に帝国自体がなくなるって事になっても困るからね。」
「そうですね。では食事の時にユーナとナリアにも聞いてみましょうか?」
「そうだね。」
帰還の話は食事の時にする事にし、クリフとセリーヌは料理をしていく。料理をしていくと言ってもダンジョン内なので簡単な料理だ。今日は肉たっぷりのシチューに、パンとサラダだった。
素材は全てクリフのアイテムボックスに入っている。もちろん食料は大量に入れていたのでまだまだなくなる事はない。だが、1カ月間補充もせずに使っていたので数は減っていた。今後の為にも更に、食料を補充しておきたいとクリフは思っていた。
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食事が始まり、クリフはこの辺りで一度帰還する事を提案した。
「そうね。私は帰還してもいいと思うわ。お父様に経過の報告もしておいた方がいいと思うし、1カ月間のダンジョン生活は楽しかったけど、さすがに地上が恋しくなるもの。」
「そうですね。クリフさんのおかげでダンジョン攻略も苦労せずに行えていますけど、疲労も溜まってます。私も帰還するのは賛成です。」
(そういえばユーナはダンジョン自体初めてだったな。そりゃ疲れるよな。その辺全然考えてなかったな。食料以外にも、もっとダンジョン内でも快適に過ごせる方法を探してみるのも良いかもしれないな。)
「わかった。なら今日は休んで、明日は先に進まず1度帰還しよう。一度転移魔法陣を使うと1週間は再挑戦できないから次の挑戦は1週間後になると思う。それまでに色々準備をして、次の挑戦で100階層まで行こうと思う。」
「「わかりました。」」「わかったわ。」
クリフ達は奈落の底ダンジョン60階層で一度帰還する事を決めたのだった。
そして翌日・・・
クリフ達は転移魔法陣を使い地上に戻った。すると・・・
「クリフ!?あれみて!!帝都の方よ。煙が上がってるわ。」
地上に戻ると、遠くの方で黒い煙が何本も上がってるのが見えた。
「みんな掴まって!城に転移するよ。」
セリーヌ、ユーナ、ナリアの三人は急ぎクリフに掴まった。クリフは転移魔法を使い帝都にあるテキサス城へ移動した。
テキサス城に転移したクリフは、すぐに念話を使った。セリーヌとユーナも同時に念話を行っていた。ナリアは父親を呼びに行った。
『グラン聞こえる?帝都からすごい煙が見えたからテキサス城に転移してきたんだけど何があったの?』
『おー。マスター久しぶりじゃな。うむ。ちょっと魔族どもが攻めてきよってな。』
『魔族が!?大丈夫だったの?』
『人の被害は少なかったのじゃが、街の被害が大きくのぉ。今は皆で救助作業と消火作業をしてる所じゃ。』
『わかった。テキサス皇帝に話をしたら僕達も手伝うよ。』
『わかったのじゃ。』
クリフが念話を終えると、セリーヌとユーナもジャンヌやソフィアとの念話を終えていた。
「クリフ様!?魔族が襲ってみたですわ。」
「そうみたいだね。今は被害のあった所で、救援活動してるみたいだね。僕達もテキサス皇帝と会ったらグラン達を手伝おうか。」
クリフ達が話していると、
ナリアと、テキサス皇帝が入ってきた。
「クリフ。待たせたな。」
「いえ、大丈夫ですよ。テキサス皇帝陛下。それで・・・この状況は?」
「ああ。いきなり魔族が襲撃してきたんだ。」
「いきなり・・・ですか?他の街を襲って向かってきたとかではなく?」
「いきなりだ。多分転移魔法か何かで来たんだろう。」
「魔族だけだったんですか?」
「ああ。魔物は引き連れてなかったな。20体ぐらいか・・・。いきなり帝都の上空に現れて攻撃を仕掛けてきてな。すぐにグラン殿が対処してくれたから人的被害はなかったんだが、街はかなりの被害が出てな。」
「そうだったんですね。魔族はどうしたんですか?倒したんですか?」
「いやある程度攻撃をした後逃げて行った。一体何がしたかったのやら・・・。」
(どういう事だ?魔王の核を探す為に帝都に攻撃を仕掛けてきたのはわかるが、早々に撤退?たしかに行動が読めないな・・・。)
「お父様?もしかして魔族達は奈落の底ダンジョンに気付いたんじゃ?」
「いや・・・まさか・・・。誰も奈落の底ダンジョンの事は話してないし、そんな事はないと思うが・・・。」
「だけど、攻撃だけして早々に引き上げるのはちょっとおかしいわ。」
「たしかにそれはそうだが・・・。」
(たしかにナリアの言うようにそれだったら魔族が引き上げたのも納得できる。魔族の中にセリーヌと似たような能力を持つ者がいたとしたらありえるのか・・・。)
「セリーヌ。もしかしてセリーヌと同じような力を持ってる魔族がいるんじゃ?」
「はっ!?クリフ様。たしかにそれなら奈落の底ダンジョンの事を魔族が知る事ができますわ。」
(やっぱり。ならやつらに先を越されない様に攻略を急がないと・・・。1週間ダンジョンに挑戦はできない。今の内に色々準備しておかないと・・・。)
テキサス皇帝との話を終えたクリフ達は、グラン達と合流し、被害のあった街への修復活動へと向かうのだった。
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