第203話 炎の精霊イフリート

奈落の底ダンジョンを順調に攻略していたクリフ達は今、50階層のボス部屋に来ていた。今日は50階層のボスを倒したら安全地帯で休み予定にしていたので、ボスを倒す為にボス部屋の前で改めて作戦会議をしている途中だった。


50階層に来るまでは、魔物を見つける度に倒して進んでいたので、苦戦する事なく進めていた。40階層までのトレントが動きも遅く森に大量にいたので、根こそぎ倒す事でセリーヌ達のレベルが大幅に上がっていたからだ。


41階層からは、ジャングルエリアではなく火山エリアになっていた。階段を降りると大きな山があり、その山の中に入っていく。山の中は迷路のようになっており、進んで行くと下に降りる階段がある。火山エリアと言われるだけあって気温はとても高い。


しかし、クリフの魔法によりそれぞれの周囲に結界を張って行動していたので、火山エリア特有の動きづらさは全くなかったので、サクサク攻略して行った。


この時点でセリーヌ達のレベルは、


セリーヌ・・・レベル103

ユーナ・・・レベル102

ナリア・・・レベル101


まで上がっていた。この世界におけるレベルの上限は99だが、クリフとの経験共有の指輪の効果なのか、レベルが99に上がった時、セリーヌ達は限界突破のスキルを手に入れていた。なので99を超えてレベルが上がっていた。


「50階層のボスはイフリートよね?」


「うん。炎の精霊って呼ばれてる魔物だね。」


「クリフ様。魔物なんですか?精霊じゃなくて?」


「精霊って呼ばれてるけど魔物の一種みたいなものかな。帝国の資料だと魔力の上限がなくひたすら火魔法を使ってくるみたいだよ。」


「どうするんですか?結界魔法で防御する感じですか?」


(う~ん、イフリートってレベル70ぐらいだったよな。それなら僕の結界魔法だけで傷一つつかない気がするんだよな~。精霊だからって特に気を付ける必要はないか・・・。)


「うん。今掛けてる結界魔法だけでも十分だとは思うけど一応気を付けてくれるかな。ここも僕は手を出さない予定だからセリーヌ達で倒してね。セリーヌ達の方が圧倒的に強いと思うから問題はないと思うよ。」


「そうね。レベルも大分上がったし油断しなければいけると思うわ。ただ、セリーヌもユーナも水魔法はあまり得意じゃないわよね?」


「そうですね。苦手って訳ではないですが、風魔法と土魔法の方が得意ではありますね。」


「私も光魔法程うまくは使えないって感じですね。」


「まあその辺は仕方ないかな。弱点属性を付ければそれに越したことはないけど、毎回毎回弱点属性で攻撃できるってわけじゃないからね。これも経験だね。」


「「「・・・」」」


(いやいやいやいや、そんな目で見られても・・・。僕だって氷魔法でイフリートを倒してあげたいけど僕がやったんじゃセリーヌ達に為にならないし・・・。)


「わかったわ。サクッと倒して休みましょ。なんせ今日は全員の日だからね。」


「そうですね。サクッと倒せば後はゆっくりできますものね。」


「はい。早く倒せばそれだけ安全地帯でゆっくり夜営ができますし。」


今日は全員の日、ナリアのその言葉にセリーヌとユーナはやる気を出した。ちなみにクリフがセリーヌ、ユーナ、ナリアと二人っきりで夜を過ごした後、夜の過ごし方にルールができていた。


セリーヌと寝る日、ユーナと寝る日、ナリアと寝る日、全員で寝る日というローテーションだ。ただ、クリフも一人で寝たい日が欲しいと抗議したため、全員で寝た日の次の日はクリフが1人で寝る日もちゃんと作られていた。


(全員で寝る日でどれだけやる気出すんだよ・・・まあ僕もうれしいけど・・・うれしいけど全員で寝るとムラムラ指数が上がるんだよな~・・・。は~・・・。)


気合を入れたセリーヌ、ユーナ、ナリアの3人は手を取り合い更に気合を入れた。そして50階層のボス部屋へと突入した。


ボス部屋に突入すると、目の前には火をまとった精霊イフリートがこちらを見ていた。


『ほうここまでくる者がいるとはな・・・久々の相手だ。存分に楽しもうぞ。』


「しゃべったわよ!?」


「そうだね。」


(精霊は言葉を発するのか。こっちの言葉も通じるのかな?)


「あなたがイフリートですか?あなたを倒せば先に進めるのでしょうか?」


『我は精霊イフリートなり。我を倒せば下に進む事ができる。見事我を倒してみよ。」


(若干会話が成り立っていない気がするけど・・・そういうものかな??)


「なによ!?いきなり向かってきたわよ。」


「ナリア、ユーナ!距離を取って!」


ユーナの指示で戦闘態勢に入った。クリフは全員の前に氷魔法で壁を作る。


(最初だけサポートしようかな。後はセリーヌ達の頑張り次第だな。)


向かってきたイフリートはクリフ達に魔法を放つ。だが・・・


クリフの作った氷の壁がイフリートの魔法を全てかき消した。


『何!?』


イフリートが魔法をかき消されて戸惑っていた。


セリーヌはその隙を逃さず、ナリアとユーナに指示を出す。それぞれに結界魔法が施されているのでナリアは槍を構えてイフリートに向かって行く。ユーナは狙いを定めて水魔法でイフリートを攻撃していった。


イフリートの魔法はそれぞれの結界魔法により、全くダメージを与える事ができなかった。


魔法が怖くないとわかったセリーヌ達は防御も捨てて一斉攻撃を仕掛ける。レベル差もあるので、セリーヌ達の攻撃によりイフリートは見せ場を作る事もなく、消えて行くのだった・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る