第202話 奈落の底ダンジョン33階層

セリーヌ、ユーナ、ナリアとそれぞれ二人きりで一夜を過ごした事で4人の関係は一気に縮まった。ラブコメであればここから更に関係が発展していく所だが、現在は帝国の危機を救う為、最恐のダンジョンの奈落の底を攻略中だ。


にぎやかな朝を迎えてる4人は気を引き締める為にダンジョン攻略中はしっかりと切り替えていく事を話しあった。もちろん、夜は逆に気分転換に攻略の事を忘れて楽しむ事も話した。


「え~っとそれじゃ今日は30階層のボスを倒して先に進みたいと思います。ジャングルエリアは40階層までは続くと思うので、気を抜かない様に。」


「はい。」

「わかりました。」

「わかってるわ。」


「30階層のボスはワイバーン3体。ボスだからレベルは多分45ぐらいだと思う。昨日3人のレベルを確認したら全員が55を超えていたから3人でも十分戦えると思う。」


「そうですね。ワイバーンは空を飛んでるからうまく魔法を使って対応するのがいいですね。翼を落とせばナリアでも簡単に倒せると思います。」


「そうね。ワイバーンは帝国でも何度かみた事があるわ。たしか・・・空を飛ぶトカゲ?だったかしら?飛べない様にすれば簡単に倒せるってお父様が言ってたわ。」


「3体いるんですよね?1体ずつ魔法を確実に当てて行けばいけると思います。」


「そうだね。もう大分戦闘の仕方が分かってきてるから大丈夫だと思うけど油断はしないようにね。一応これから100階層までは今のスタイルでそのまま行く予定だから念の為確認するよ。戦闘が始まったら僕が全員に支援魔法を掛ける。基本的には全てのステータス上昇のバフだね。今回も僕は手出ししないけど、ナリアが前衛で魔物の注意を引きつける。セリーヌとユーナが後衛で魔法で魔物を攻撃する。ここまではいいよね?」


「「はい。」」「ええ。」


「僕がいる場合は中衛で、前衛と後衛のサポートをする。今回は僕は攻撃しないからサポートのみする事にする。ナリアは魔物を牽制しながら槍で攻撃。ワイバーン相手にどこまでやれるか見せてよね。」


「まかせて。」


「セリーヌがその辺の指示はしてね。全体の動きを見ながら指示を出す事を忘れない様に。」


「わかりました。」


「ユーナは攻撃魔法を使いながら状況を見て、回復や防御魔法をお願い。ワイバーンはブレスとかはこないと思うけど、急に向かってきたら結界魔法で全員を守ってね。」


「はい。わかりました。」


食事をしながらダンジョン攻略モードに切り替えていく4人。準備を終え30階層のボスへと向かって行く。ボス部屋に入ると、予定通りワイバーンが3体上空を飛んでいた。


「それじゃあ作戦通り行くよ。」


クリフの声とともにセリーヌとユーナが魔法を放った。ワイバーンはそこまで早い訳ではなく、翼も大きく狙いがつけやすかったのでセリーヌとユーナの魔法はワイバーンの両翼を正確に捉えた。


翼を攻撃されたワイバーンは叫び声を上げながら落下していく。そして、ちょうど落下地点に走り込んでいるナリアは槍を一閃しワイバーンを仕留めた。


「ナイスセリーヌ!ユーナ!ナリア!」


「ナリア!気を付けて。まだ2体ワイバーンがいます。ワイバーンから距離を取って!」


「わかったわ。」


「ユーナは引き続きワイバーンを魔法で攻撃してください。」


「はい。」


セリーヌの指示でナリア、ユーナがともに動く。


(うん。セリーヌの指示も大丈夫そうだ。それにレベルが上がったからかワイバーンも相手でも問題なさそうだな。)


クリフは全員の動きを見つつ見守った。


セリーヌの指示の元、ワイバーンが1体消え、そして又1体消えて行った。


「お疲れ様。30階層もこれで無事に攻略だね。一応安全地帯はあるけど、ジャングルエリアでも夜営できるのはわかってるしこのまま31階層に向かうよ。」


「「はい。」」


「ええ。大丈夫よ。」


クリフ達は30階層のワイバーンを倒し、31階層へと降りて行った。


「31階層からはまた感じがちょっと違うみたいだね。ちょっとどんな感じか見てみるね。」


クリフは空を飛んで31階層を確認した。


(大きな森があるのは変わらないけど、大きな湖があるな。21階層~29階層にはなかったからその辺が違う所かな。)


「ざっと見たけど今までとちがって大きな湖があったよ。湖の周りは比較的安全そうだね。森は同じような感じだったから昨日までと同じように連携しながら進めば問題なさそうだね。あっでも出てくる魔物のレベルは上がってると思うから油断はしないでね。」


31階層からの魔物はレベル40~50の魔物が出現する。31階層はクリフもセリーヌ達と一緒に行動していた。一通り探索してみると、21階層からよく出ていたホワイトモンキーはこの階層にはいないみたいだ。その代わりに木に擬態しているトレントが森の至る所にいた。


「このジャングルエリアはトレントが主な魔物みたいね。」


「そうですね。気に擬態してるのはやっかいですね。」


「そうだね。僕は気配察知でトレントの事はわかるけど、その辺を察知できないとこのジャングルエリアの探索は厳しそうだね。とりあえず僕が気配察知を全面に出して魔物の位置は教えるからみんなは経験共有で気配察知を覚えるようにしようか。」


「「わかりました。」」 「わかったわ。」


クリフが気配察知をし、森の至る所にいるトレントを倒しながら31階層、32階層、33階層と進むと、33階層でおかしな所に階段があるのを見つけた。


「クリフ様・・・あれって・・・」


「うん。かなりあやしいね。湖の真ん中にポツンと階段があるなんて。湖の中に強い魔物でもいるのかな?」


「どうしましょうか?」


「う~ん・・・。」


(ここは無理する所でもないし、サクッとやっちゃっていいよね。)


クリフは魔法を放ち湖全体を凍らせた。


「これで魔物が居ても出てこれないから先に進めるね。」


「クリフ様・・・。」


「クリフ・・・それはさすがに・・・・」


「クリフさんすごいです。」


3人からそれでいいのか!?という目で見られたクリフだったが、安全に先に進めるという事で気にせず先に進むクリフとセリーヌ達であった。

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