第200話 ユーナとの夜・・・
「おじゃまします。」
そういって、ユーナがクリフの部屋に入ってきた。
「うん。どうぞ。」
パジャマ姿のユーナを見たクリフは・・・
「そういえばユーナと二人きりでゆっくり話すのは初めてだね。聖国じゃあ炊き出ししたり何かやってた記憶しかないから。」
「そうですね。あの時も二人っきりでしたけど、あの時はとにかく聖国を立て直すのに必死でしたから。」
「そうだね。まあうまく立ち直ってよかったよ。」
「はい。おかげでこうしてクリフ様と一緒に冒険できてますし。」
「うん。僕もユーナと一緒に冒険できて楽しいよ。」
(セリーヌはお姫様だから高貴な感じが漂ってるけど、ユーナって町娘みたいな感じで接しやすいんだよな。もっと砕けてくれてもいいんだけど・・・)
「それでさ、クリフ様って言うの止めない?」
「いやですか?」
「いや。別にいやなわけじゃないんだ。セリーヌなんかはクリフ様って呼ぶしね。まあセリーヌは王国のお姫様だからそういうもんかって思ってるけど、ユーナって普通の女の子みたいな感じだからもっと気楽に話しかけてほしいんだよね?」
「・・・クリフさん・・・じゃダメですか?」
「うん。じゃあそれで。」
「はい・・・クリフさん。」
「そうそう。そんな感じで。」
「私、聖女になってから、聖国の為に色々がんばってきました。恋とかは無縁だと思ってました。だけど・・・3大国交流戦でクリフさんを見て、助けられて、それからクリフさんと一緒にいたいって思うようになりました。」
「そうだね。たしかあの時に初めてあったんだよね。まあ神様からは少し話は聞いてたけど・・・」
「そうですね。私も女神様からクリフ様の話は何度も聞いてましたので、ずっと憧れを持っていました。会った時は、女神様のいう通りだったと思いました。」
「ずっと一人で頑張ってきたんだね。これからは僕もいるし、セリーヌもナリアもいる。だからみんなでがんばっていこうよ。」
「はい!でもいいんでしょうか。私ばっかり幸せになってしまって。聖国にはずっと一緒にいたアスカもいるのに・・・。」
「まあ心配はしてるだろうね。でも、アスカもユーナがいなくなって自由に色々する事ができるんじゃないの?アスカってユーナの事すごい気にしてたじゃん。もうお母さんみたいな感じで。」
「ふふ。たしかにそうですね。私ばっかりにかまわずアスカにも良い出会いがあればいいんですが・・。」
「他の人を気に掛けるなんてユーナはやさしんだね。」
「いえ、アスカはずっと一緒にいたので、姉妹みたいな感じなんです。だから・・・。」
そうして、クリフとユーナは夜遅くまで、お互いの事を話し合った。
「じゃあそろそろ寝ようか。明日もダンジョン攻略が続くからね。」
「はい。あの・・・え~っと、手を繋いで寝てもいいですか?」
「もちろん。」
クリフはユーナと手を握りベッドに進んだ。
「私、男の人と寝るの初めてです・・・。クリフ様暖かいです。」
「僕はユーナで二人目かな・・・一人目はセリーヌだよ。」
「はい。」
そうして、手をつないだまま、二人は眠りについた。もちろんおやすみのキスはクリフからした。
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クリフは目を覚ますと、昨日と同じようにユーナの寝顔を見つめていた。
(いつの間にか握ってた手が離れてるな。それにしてもかわいい寝顔だな。セリーヌに続きユーナ、そして今日はナリアと・・・。うれしいけど・・・前世じゃ童貞って訳でもなかったし、この状態が続くのはつらいな・・・。こんなかわいい寝顔横にして何もできないんだもんな。)
ユーナの寝顔を見つめていると、ユーナが目を覚ました。ユーナと目が合うと、ユーナは布団を被った。
そしてそのまま・・・
「おっおはようございます。クリフ様・・・クリフさん。その・・・いつから起きてたんですか?」
「おはようユーナ。30分ぐらい前かな。ずっとユーナの寝顔みてたよ。可愛かった。」
「もう。クリフさんひどいです。起きてたなら起こしてくれたらいいのに。」
「だって気持ちよさそうに寝てるんだもん。起こすのは悪いよ。」
「クリフさんばかりひどいです。私も早く起きてクリフさんの寝顔みたかったです。それにセリーヌから、クリフさんが早く起きて寝顔を見られたって聞いてたので、絶対クリフさんより早く起きようと思ったのに。」
「ごめんごめん。でもいつでも一緒に寝られるんだから次はユーナが先に起きて僕の事起こしてよ。それよりいつまで布団被ってるの?」
「恥ずかしくて目を合わせられないんです。もう少しこのままで・・・。」
ユーナはセリーヌが、クリフに寝顔を見られて恥ずかしかった。と言っていたのを聞いて、クリフより早く起きて寝顔を見ようと思っていた。しかし、早起きすると、クリフは更に早く起きていた。
そのあと、ユーナが落ち着いたので、クリフとユーナはセリーヌとナリアの為に朝ごはんを二人で作った。
二人とも早起きしていたので、まだセリーヌもナリアも起きていなかったのだ。
料理をしながらイチャイチャする姿は、結婚したての新婚夫婦のようだった。
ユーナはクリフと一緒に料理する時間を過ごせた事が、一緒に寝た事以上にうれしかった。
料理が作る終わると、同じタイミングで眠たそうなナリアとセリーヌがダイニングに現れた。
「あれ?もう朝ごはんができてる・・・」
「おはようございます。セリーヌ。ナリア。もう朝ごはんできてますよ。」
「えっ?ユーナと・・・クリフ様が作ったの?・・・二人で?」
「はい。とても楽しい時間を過ごせました。」
「ずっ、ずるいわ。私もクリフ様と一緒に料理したかった・・・」
セリーヌとナリアがほっぺを膨らませ、かわいく拗ねていた。それをクリフがうまく宥めた。宥めたといっても、今後料理はクリフとセリーヌ、ユーナ、ナリアが順番でペアで料理をするようにしただけだ。
クリフ達は朝ごはんを食べて、今日も奈落の底のダンジョンの攻略を始めるのだった。
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