第195話 奈落の底ダンジョン21階層

「おはよう。」


クリフがダイニングに行くと、セリーヌ、ユーナ、ナリアはすでに準備を終えてクリフが来るのを待っていた。


「「おはようございます。クリフ様。」」

「おはよう。クリフ。」


「昨日も遅くまで集まって話してたみたいだけど大丈夫?」


「「「!?」」」


「クリフ様。聞いていたんですか?」


「いや部屋に集まっておしゃべりしてるのは知ってたけど、内容は全然知らないよ。」


「よかったです。」


「え?」


「いえいえなんでもありません。」


セリーヌ、ユーナ、ナリアの3人は近づいて小声で話し始めた。


「ナリア?女子会してるのクリフ様にバレてるじゃない?」


「大丈夫よ。内容は知らないって言ってたじゃない。昨日の事だって大丈夫よ。それよりセリーヌは大丈夫なの?今日の晩クリフの部屋に行くんでしょ?」


「セリーヌがんばって。」


「昨日はその場のノリで行くって言いましたが、いざクリフ様と顔を合わせると・・・。」


「駄目よ。こっちがいかないといつまでたっても進展しないわ。もう婚約者になったんだからここで関係を進めておかないと。ただでさえクリフには婚約者が多いんだから。」


「そうですね・・・。わかりました。今日クリフ様の部屋に突撃します。」


「明日はユーナで明後日が私ね。」



(え~っと・・・なんかセリーヌ達がこそこそ話してるんだけどどうしたらいいだろう?話の内容も気になるけど声をかけていいのかな・・・)


セリーヌ達がこそこそ話しているのを、遠目で眺めるクリフ。どうしたらいいかわからず立ち尽くしていた。


「おまたせしましたクリフ様。さあ朝ごはんを食べて今日もダンジョン攻略進めましょう。」


「う、うん。」


(話は終わったみたいだ。何話してたんだろ・・・)


クリフ達は朝ごはんを食べながら今日の予定を話し合った。


「今日は30階層まで行くの?」


「一応その予定ではいるけど、セリーヌ達のレベルも上げたいから下に降りる階段を見つけてもすぐに降りずに魔物を倒しながら進もうと思ってる。」


「早く下に降りた方が魔物も強いんじゃないの?」


「そうなんだけど、21階層からはレベル30~40の魔物だから、経験を積みながら進んだ方が安全かなって思ってね。1体だけなら問題ないだろうけど、4体5体と出てきたらさすがに危ないでしょ?」


「それは・・・たしかにクリフのいう通りね。どれぐらいレベルを上げるの?」


「感覚共有で経験値4倍になってるから、できれば全員が50を超えるまではボス部屋にはいかないつもりだよ。もっと言えば55ぐらいは欲しいところだけどね。」


「たしかに50ぐらいないと、30階層のボスは厳しいかもしれないわね。」


「ナリアは21階層から先は行った事ないんだよね?」


「ええ21階層から40階層までは洞窟タイプの迷宮じゃなくてジャングルタイプだから大量の魔物に襲われる可能性があるって事でいかなかったの。」


「ああそういえば21階層からはフィールドが変わるんだったね。」


奈落の底ダンジョンは


1階層から20階層は洞窟タイプのダンジョンで

21階層から40階層はジャングルタイプのダンジョンになる。


洞窟タイプとは、迷路のようなダンジョンで、

ジャングルタイプは、その名の通り、ジャングル地帯になっているダンジョンだ。


洞窟タイプのように道があるわけではないので、四方から魔物が襲ってくるのだ。


(まあ、要はダンジョンの中なのに外みたいだ!って言うヤツだろ?広いフィールドなら僕の気配察知で魔物の場所はある程度わかるだろうし逆にやりやすいかも。)


「ええ。外と同じような環境だから行動はしやすいかもしれないけど、下へ降りる階段を見つけるのが一苦労みたいね。」


「たしかに資料にそう書いてあったね。でもたしかにそうだね。どれだけ広いかわからないけど、その中から階段を見つけるのはちょっと苦労しそうだね。」


準備を終えたクリフ達はコテージを終い、21階層に降りていく。するとそこには・・・


「太陽がある!?」


降りた場所は荒れた大地だった。遠くには森も見える。上を見上げれば先ほど降りてきた階段とともに太陽が周りを照らしていた。


「クリフ様!ダンジョンの中なのに、こんな場所があるんですね。森もあるし湖も草原もあります。」


「そうだね。どれだけ広いかわからないからはぐれない様にね。あっそれと魔物がきたら後の事を考えずに最優先で倒してね。回復アイテムも十分に持ってきてるから。」


(さて、まずはここがどれぐらい広いか調べてみよう。わかるかな・・・。)


クリフは気配察知を使って周辺を調べる。


「かなり広いみたいだね。階段の場所はさすがにわからないな。でも魔物の場所はある程度わかるから不意打ちを食らう事はなさそうだね。この広さじゃ30階層までって言ったけど、今日22階層にいけるかどうかもわからないかも・・・」


「本当ですか?」


「うん。階段を探すためにけっこう歩き回らないといけないね。この荒地の周りには魔物がいないから今の所大丈夫だよ。森の中にはけっこう魔物がいるみたいだね。とりあえず森に行ってみようか?」


「ええ。魔物は消えてなくなるけど、森には果物とかがあるらしいから取りながら進むのもいいかもしれないわね。」


21階層に進んだクリフ達は、階段を見つける為、魔物を倒してレベルを上げる為、森へと進むのだった。


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