第188話 ダンジョンに向かうのは・・・

「お久ぶりです。創造神様。」


「うむ。クリフ君。久しぶりじゃな。」


「今回はどうしたんですか?帝国のダンジョンの事ですか?」


「そうじゃ。まあお茶でも飲みながら話そうかの~。」


そういって、創造神はその場にコタツを出した。コタツの上には湯気が出てる温かそうなお茶と蜜柑が置いてあった。


クリフはコタツに入り、蜜柑を食べてお茶を飲む。


「うまい!!やっぱりコタツに蜜柑は鉄板だな。」


「じゃろ?それで今回クリフ君を呼んだのは『魔王の核』についてじゃ。」


「あれは創造神様が帝国に与えたんですか?」


「うむ。あれは天職の儀で勇者の称号を与えた時に、儂が帝国のダンジョンの最下層に置いたのじゃ。」


その後、創造神は魔王の核について詳細を話した。何でも、魔王がいれば勇者が生まれ、勇者が入れば魔王が生まれるのがこの世界の常識で、基本的には魔王の力は勇者と比べると倍程の力があるらしい。だが、その力は、『魔王の核』に半分は封印されているとの事だった。


『魔王の核』は今まで、魔王側の手に渡ったり、勇者側が見つけて破壊したり、存在がわからないまま決着が付いたりとけっこう様々な感じらしかった。


「それで今回は魔王側が魔王の核の存在について知ってしまった。これが魔族側に回ると、魔王が力を取り戻してします。まあそれもこの世界のルールじゃから仕方ないのじゃが、今回魔族に魔王の核の事を伝えたのは邪神側の人間じゃ。」


「パインと一緒にいたマイっていう邪神の信者ですね。」


「そうじゃ。じゃから今回儂もクリフ君に魔王の核についての情報を提供する事にしたのじゃ。」


「そうなんですね。え~っとでも普通にダンジョンを攻略して最下層まで行こうと思っていたのですが何か問題があったんですか?」


クリフは単純に疑問に思った。ダンジョンの最下層にある事はすでにわかっている。後はダンジョンを攻略するだけだから特に神様から説明されるような事はないはずだと。


「それはそうなんじゃが、今回帝国にあるダンジョンは特殊でな。あそこは今、71階層まで攻略されておる。そしてそれ以降の攻略は何百年と進んでおらん。クリフ君はそれがなぜだかわかるか?」


「単純にダンジョンの魔物が強いからではないんですか?」


「もちろんそれもある。が、一番の理由は71階層より先は選ばれた者しか行けぬ決まりがあるのじゃ。」


「選ばれた者?」


「そうじゃ。勇者や聖女、剣聖や賢者のような特別な称号を持つ者か王族しかあそこから先はいけないのじゃ。」


「えっ!?・・・」


(何その設定??それって僕とセリーヌとユーナとナリアの4人で行けって事?なにその都合の良い設定・・・。てかそれなら魔族は魔王の核取れないじゃん・・・)


「今、そんな都合の良い設定?って思ったじゃろ?」


「うっ・・・」


「たしかに今のクリフ君からしたらそう思うかもしれん。じゃが、これは初めから決まっていたのじゃ。なぜなら、帝国にあるダンジョンは神々がその昔、邪悪なるモノを倒す為に、それに対抗できる者に対して作った試練用のダンジョンなのじゃから。」


「試練用のダンジョン・・・。」


「うむ。勇者が誕生した時にいつも魔王の核をどうするか悩むのじゃが、今回は試練用のダンジョンが丁度帝国にあってそこに置く事を決めたのじゃ。魔族側でも力ずくで突破したり、魔族側でも通る事のできる称号持ちもいるから不公平にはならんとおもっての~。」


「魔族側も攻略が可能なんですね・・・。」


「うむ。じゃからクリフ君が、魔族よりも先に魔王の核を手に入れる事ができるようにメンバーの情報を伝えにきたのじゃ。魔族側はまだ魔王の核が帝国のどこにあるかまではわかっておらん。それに、クリフ君も攻略メンバーが多すぎると思っておったじゃろうから丁度よかったじゃろ?」


「まあ・・・そりゃ。」


(たしかに思ってたけど、ここまで都合よくいくとは思ってなかったよ。さすが異世界。いや主人公補正か?それともご都合主義か・・・)


そうして、神様からダンジョン攻略メンバーの事と、最古のダンジョンが試練の為のダンジョンという事を聞いたクリフは翌日、その話を伝える為に、城に向かった。


クリフは昨日、創造神様と会った事。魔族側に魔王の核の事が伝わっている事。ダンジョンへはクリフ、セリーヌ、ユーナ、ナリアの4人で攻略しろ。と言われた事をテキサス皇帝や皇女のナリア、セリーヌ達やグラン達に伝えた。


もちろん、ジャンヌ達からは反発がでた。グランなんかは「魔族が破壊できるような所なら我であれば大丈夫」といいやはり反発した。


クリフはジャンヌとソフィア、それにグラン達には、ダンジョン攻略している間に帝都が魔族に襲われる可能性があるから守ってほしいと伝え了承してもらったのだった。


グラン達が納得?した所で、クリフは念話で、聖国のユーナにその事を伝えた。ユーナはすぐに教皇に確認を取った。教皇からOKはすぐに出た。


クリフはユーナを迎えに行き、クリフ、セリーヌ、ユーナ、ナリアの4人はダンジョン攻略の準備を進めた。ジャンヌ、ソフィア、グラン、スイム、クインの5人はグランを筆頭に帝国を魔族から守る為に、色々と準備をしていった。


準備が整ったクリフ達は、ダンジョン攻略を開始するのだった。

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