第2話

花の休みの日には必ず食事に

連れて行ってくれる山村。

花は20歳と、いえど卒業した

ばかりで、まだ子供の様なものだ。

そんな花からしたら山村は大人

だった。

互いに引かれ会う2人。

山村は花の真面目さと笑った時の

笑顔が大好きだった。

花は優しくて、いつも冗談を言って

全てを包み込んでくれる山村を大好き

に、なっていた。

食事を重ねて行く内に、2人は肌も

重ね合う様になった。

花は初めてだった。

その事に山村は驚くと同時に、なお

愛おしく思った。

正月には初詣、春には桜、夏には

ヒマワリ畑、秋には紅葉。

2人は季節ごとに自然を楽しんだ。

中でも花は桜が気にいってしまった。

樹齢、何百年と言う垂れ桜だった。

その姿は見事だった。

花は、その場から、なかなか動け

なかった。

こうして時を重ねて花は山村の事を

章一さんと呼んでいた。

そんな、ある日 、何時もの様に

駐車場で待ち合わせをする2人。

花が車から降りて山村の車に

乗ろうと、した時1台の車が入って

来た。

その女性は車から降りて来た。

山村の顔が変わった。

[誰ですか?]

[嫁。]

[あなた、何してるの?この女

誰?]

[いや、仕事頼まれて打ち合わせ。]

[こんな若い子が何を建てるの?

打ち合わせなら事務所で、すれば

いいじゃない!]

[あなたは帰って!]

と花は言われ帰るしかなかった。

それから山村から連絡が来ない日が

続く。

不安に、なる花。

ただ会えない分だけ気持ちは、

募っていく。

(章一さん大丈夫かな?奥さんに

だいぶ、や られたんだろうな?)

花の思った通り山村は携帯は全て

チェックが入り、仕事もチェック

されて身動きが取れない状態

だった。

(花、心配してるだろうな?)

と山村も花を心配していた。

[あなた、今度あの女に会ったら

あの女に慰謝料を請求しますからね!]

[あの女の名前と住所言いなさいよ!]

[もう会わないから、いいだろう?]

山村は花を守る為に、そう言うしか

なかった。

早くから、recompileしたいと言う

山村だったが嫁は絶対に離婚は

しないと言い続けている。

そんな時、偶然、山村の奥さんが

花の店に買い物に行った。

花は直ぐに分かったので身を隠したが

見つかっていた。

山村の奥さんが、やって来る。

[泥棒猫、森下って言うの?今度

あの人に会ったら、私、慰謝料を

請求するから覚悟しときな!]

そう言って去って行った。

(慰謝料?)

花は、恐くなった。

ある日花にラインが入って来た。

(今、嫁居ないから!花、大丈夫?)

(うん、章一さんは?)

(監視されてて、身動きが取れない。

でも、来週の月曜日、仕事で市内

の方迄、打ち合わせに行くんだ。

さすがに、それには着いて来ないと

思うから月曜日、市内で会おう!)

(はい、じゃあ時間と場所、月曜日で

いいんでラインしてください。

気を付けてね。)

(ありがとう。)

花はシフトを見る。

(月曜日、仕事だ。店長に言って

変わって、貰おう。)

[店長、すみません。月曜日シフト

変わって貰っていいですか?]

[どうした?]

[急用が出来て。]

[普段、森下さん真面目だから誰かが

変わってくれるでしょう?]

[ありがとうございます。]

花は家に帰ると

(月曜日、何着て行こう?久しぶり

だもんな~もう長い事、会って無いな?)

と服選びに必死だった。

少しでも山村に気にいって欲しかった

のだ。

日曜日の夜、山村宅

[あなた、明日は市内で打ち合わせ?]

[あ~向こうで家を建てるみたいで

現地を見て図面描いて設計しないとな!]

[ふ~ん。]

月曜日、とりあえず市内に向かって

車を走らせる花。

するとラインが入って来た。

(市内のAマートに12時には行くよ!)

(はい。)

Aマートを検索する花。

(ここだ、12時なら余裕で行けるな!)

駐車場で待って居ると山村が窓を

コンコンこんと叩く。

[あっ、章一さん。]

[花、俺の車で行こう。久しぶりだな?

花。]

[うん。大変だったんでしょう?

今も?]

[うん。相変わらずだよ!]

[お店に奥さん来たよ!]

[えっ!何か言われたか?]

[今度、会ったら慰謝料を請求するって

言われた。]

[あのばか!ほっとけ花。]

そして2人は食事をして甘い時間を

過ごした。

時間が経つのが早く感じる。

[又、当分会えないね?]

[花、会えなくても俺の心は花の

所にあるから信じて!]

[私も、私の心は章一さんの所に

あるから!]

[うん、じゃあな!]

[うん。]

見送る花。

(うん、章一さんの心が私の所に

有るなら堪えられる!)

そして又、会えない日が続く。

毎日、職場と家の往復だけだった。

花は毎日、山村を思い出す。

又、山村も毎日、花を思い出す。

ある日、花は車で走っていた。

山村の車と対抗したので慌てて

クラクションを鳴らした。

よく見ると後ろに奥さんが乗っていた。

[今の誰?]

[さぁ、俺じゃ無いだろう?]

[そう?あの泥棒猫に似てたけど!]

[何だよ!その言い方!]

[あら?本当の事じゃない!]

花を守る為に必死の山村だった。

[そんなに言うんなら離婚するか?]

[はぁ?しないよ、絶対に!]

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