第34話 研究室
034 研究室
何ということだ。
この研究室は、素晴らしい。
何が素晴らしいかというと、『取説』にはこうある。
「縮小ボタンを押せば、小さくなり、持ち運び可能」と。
『取説』は、光ったのだ、本棚の中にあったのである。
この研究室は、つまりあれだ!
あれ?なんだった。
思い出せないが素晴らしい。
まあいい。
それくらい素晴らしいということだ。
ここには、デスロックにはなかった錬金ルームが存在する。
触媒や道具などが完備している。
そして、師匠の努力の結晶、鍛冶部屋すらある。
図書室があり、師匠の労作(研究)やそのほかの著書が存在する。
それ以上に、居心地のいい寝室。
あらゆる金属?を貯蔵した倉など、素晴らしい施設だった。
そして、問題の書籍も発見する。
封印された書籍、ルーン真言の威力を知らしめる、先史時代の神を記した書籍である。
ルーン真言により、前時代の神々の加護をえることが可能なまさに、教皇が研究していてはダメな書籍であった。(自分の神を否定する結論に限りなく近づくからである)
ルーン真言と表紙に書かれている。
しかし、表紙に、指輪の紋章が刻まれており、いま、それは一つしかない。
つまり、その本を開くことはできない。
恐らく、魔法によるロックがかかっているのだ。
そして、魔法のロックは今の開錠スキルを使えば開けることは可能だろう。
それほど難しいものではないのだ。
鑑定による答えは『開錠可能』だ。
だが、師匠の遺志を優先しなければならない。
もう一つの指輪を発見し、師匠の墓前に報告に行かなければならない。
墓があるのかは知らないがな。
因みに、師匠は、先の反乱では死んでいない。
重犯罪者監獄は、鉱山の中に作られているため、ほぼ無関係なところに存在したからである。
この男は、師匠を亡き者にしようとしているのだった。
ゴブニュとの約束のミスリル銀も確認できた。
どれだけ要るのかは不明だが。
そして、賢者の石のレシピも発見した。
「これはひどい」というものだった。
恐らく、この材料を集める人間こそが、神に近い存在なのかもしれない。
そういう中身であり、製法もほとんど運任せであろう。
錬金術スキルレベルカンストで。
師匠の倉には、素材は一つもなかったのは勿論のことだ。
「では、早くこの街を出よう」男はこの国が大嫌いなのだ。
確認もそこそこに、出発を決意するのだった。
先ほどのフロアは非常にきれいだった。
男の錬金術の単離を応用した、血液除去は完璧だった。
恐らくルミノール反応も出ないに違いない。
勿論そのような検査技術はこの世界にはないのだが。
そもそも、ルミノール反応のことすら忘れているのだが、本能で証拠隠滅を完璧にこなしているようだ。
潜望鏡のような階段が上昇し、地上に突き出る。
ここら辺は、魔法技術のなせる業?なのか。
扉からでて、縮小ボタンを押す。
それは、腕輪になる。それをはめる。
所有者の登録は済ましている。
内部のコンソール画面で『取説』を見ながら、設定している。
ところで、『取説』って何?
「なんだ、それは」訪問者が数十名いたのである。
招かれざる客も実は監視することができたのだが、そんなことをする必要もなかったはずなのでしていなかったのである。
「おい貴様、いまのはなんだ」
いまの行動はすべて見られていたのである。
「なんのことだ、お前達こそなんだ、貴族の私に向かって無礼であろう」
明らかに、向こうにも同様のものが入っているが、男にはあまり区別はつかない。
自分が偽貴族だからである。
「我らはゾーレオパルディア家のものだ」
「それがどうかしたのか、私は貴様らの遠い親戚になる」かもしれないといっている。
つまり違うのだが、最後は小声で言っていた。
「それが本当ならば丁度よい、一手御指南願いたい」
「誰に聞いたかは知らんが、なんのことだ」
「ゾーレオパルディアは武門の一族、昔の親戚であるならば、秘伝の技もあろう、我等にその一端でもご教授願えればと思い、
「そうか、それで、徒党を組んで襲いに来たのか、しかし、そこの奴はなんだ」
男が指をさしたのは、彼らの後ろでひそかに物陰に隠れている男である。
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