第33話 秘密の扉

033 秘密の扉


ミスリルの指輪を指にさしてかざしてみる。

そこから、光が伸び、ある場所を指す。

やはり、そのような仕掛けがあるのか。


その場所まで歩く。

なんらかの場所であることは確実だ。

指輪から光がさらにでる。

地表から、円柱が突き出してくる。

「魔法だ!」

俺が、その円柱に入ると、下に階段が螺旋らせんを描いて下っていく。

俺は、その階段を下っていく。

彼らは、ついてくるだろうか?

そう、必ずついてくるに違いない。


「好奇心猫をも殺す」


確か警告したのではなかったか。

しかし、いまは、師匠の研究所を楽しみたい。

だが、まずは、適当な場所があるのだろうか。

明かりは魔法なのか、自動的に点灯していく。


階段を降り切ると、少し広い場所がある。

円柱形の扉は、すでに閉じられていた。

そして、その前に、門衛たちは、侵入していた。


「余計な考えは、災いを呼ぶ。と警告したのだがな」

そこには、すでに身体強化により、少し眼が赤くひかり始めた男が待っていた。

「貴様、本当に貴族か」隊長が下ってくる。

「貴族だから、このような場所に来られるのではないか、それに、がその口のききようはなんだ」

「ここは、前教皇の館だぞ」

「その話は先ほどしたが、お前にはついてくるなといったが」

「このような、発見を黙っていられるか、これで俺も貴族になれるかもしれん」

この発見は、褒美の対象になると考えているのである。

「発見したのは、私だが」

「お前は、ここにきていない」

「そういうことか、聞いて安心した。しかるべき貴族にお知らせすべきですなどといわれたら、ちょっと困るところだった。安心して、殺すことができる。因みに聞くが、お前はデウスの信徒か、神の存在を信じているのか」


「お前を消してから、懺悔するよ」隊長は不敵に笑った。

彼を含めて、5人の門衛が侵入していた。


「では来い!愚か者ども!」目がさらに赤く光る。

それは、伝説に登場する悪魔のような姿であった。


「お前は悪魔!」

その瞬間に男の剣が鞘走り、そういった門衛の首を切り飛ばす。

「否、死神である」

身体強化した男はすでに相当な力を持っていた。

門衛では、太刀打ちできるものではなかった。

彼等には、それほどのスキルがないのだ。

剣術レベル1程度なのである。


「なぜか、違和感があるのだが・・・」剣を振り回す男はつぶやいた。

何かが、しっくりこないようだ。

男の剣は異常に早い、強力な腕力により生み出される剣速である。

しかし、剣法自体はないため、実は、剛力の男が、滅茶苦茶に剣を振り回しているというような状態なのだ。


だが、その一剣は神速で繰り出すために、簡単に相手を切り飛ばす凶器となる。


隊長の両手がちぎれ飛ぶ。

「ぐああ~」

「助けてくれ~」

彼らが助けを呼んでいるが、この閉鎖された空間に誰がくるというのか。

ここは、地下なのだ。

なのだ。


「お前達では、剣術の訓練ができんようだ」

男にとっては、すでに、彼らはわら束と同じように見えるようだ。

「身体強化のバランスも今一つだ」

まるで自分の体ではないような言いぐさだった。


「早く死ね、私は、師匠の研究を引き継がねばならんのだ、さあ」

つながりのない一剣一剣だが、それは彼らにとっては、致命の剣である。

男にとっては、繋がりのある攻撃したいらしい。


何か違和感が混じり、バランスを狂わせている。

嘗て、俺はもっとできたはずだ。それは確信になっていた。

何かの動きを思い出そうとしているのだが、その何かがはっきりとわからない。


もう少しで何かが思い出せそうなのだ!

しかし、そこに動くものはいなかった。血まみれのフロアと自分だけだ。

「おお、師匠の研究室が何ということだ」

男は、アイテムボックスに死体と血を収納した。


謎のルール、生きた人間は入らないが、死んだ人間なら入れることができるのルールが適用される。

きっと、死体の中では、微生物がまだ死なずに生きているはずなのに・・・。

男はそんなことは考えていなかったが。きちんと死体を入れることには成功した。



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