第25話 協議

025 協議


ゴブニュとの話はすぐに一致した。

脱獄後、ミスリル銀の確保に目途が付いたことを話す。

そのことで、ゴブニュはここでの採掘を終了することになった。

そして、鉱山から去ることになる。

待ち合わせ場所などの詰めが終わると、去っていった。


「さて、俺たちだが、どうするかな」

俺、マリウス、アースだ。

武器は、すでに準備されている。

武器庫の武器防具をいただいてきていたりする。

さらには、その武器を錬金術により、一流の武器に調整しなおしたものである。

「監獄内の兵士たちは2交代制で、全部で80人程度かと推測される」

「囚人は、500人程度だが、ほとんどの人間は戦えない」

「戦える我等の援助を受けているものは30人程度だ」

「反乱が起これば、王国の騎士団が投入される可能性が高い」

「せっかくだから、囚人たちにも頑張って逃げてもらいたい、ウッソだったか?そいつに報いるためにもな」

「さすがに、食料の盗難量も隠しきれない」

「そうか、じゃあ、俺が治癒術をかけて回る」

「そんなことが可能なのか?」

「できる」


「だが、80人もの兵士とまとも戦っていれば死人も出るだろう。」とアース。

「どうする、兄貴」とマリウス。


「ああ、鉱山の中で得た物質には毒性の高いものもあるから、食事にでも混ぜてあげたいところだが、鉱物毒は速効性に問題があるかな」と俺。

鉱物には、硫化物やヒ素などが存在し、毒性がある。

ただし即効性のものではない。


「そういうことか、じゃあ、兄貴の注文にぴったりのものが、ここをでた森にあると思う」とマリウス。

「なんだそれは」と俺。

「カエルだ」マリウス。

「なるほど、そんなものがいるのか」と俺。

「おい、カエルがどうしたのか」とアース。

「やたらにきれいな色をしているからわかりやすい」とマリウス。

「わかった。カエルを取ってきて、ごちそうしてやろう」と俺。

それは、矢毒ガエルの一種なのであろう。この鉱山の近い森にもいるらしい。

この辺は、熱帯なのだろうか?あまり感じたことはないのだが。

勿論異世界だからそのような些末なことを考える必要はない。

そこに、あるのである。カエルがなければ、トリカブトを食べれさせればいいのです。男は誰かに対して、説明する自分がいた。


「では、俺はカエルをとりに行ってくる、帰るまで、お前たちは、逃亡の手助けの食料援助を拡大しておいてくれ」

「わかった」

こうして、深夜の協議は終わったのだ。


俺は、睡眠時間を削って、監獄の外に出る。

森まではというか、森の中に監獄はあったようだ。

川を求めて歩き回る。いつの間にか夜目のスキルがついたのか、暗闇でもよく見えるな!

さすがにワールドエネミーの名は伊達ではないのだろう。


「おお、なんと美しい。黄色に黒の斑点が美しい」それらを捕獲する。手で触ると大変危険だ。厚い布でつかみ袋に入れてやる。

それ以外にも赤いのやら青いのやらがいた。

しかし、もうすぐ夜が明ける。

久しぶりのカエル採りをおえて、帰ることにする。


そういえば、こんなに簡単にとってしまうと、食料援助の時間が不足することに気づいた。


それから五日後に決行することに決まった。


監獄内某所。

「君らは、ワールドエネミーの戦士となったのである。今から世界の権威すべてを破壊するための戦いが始まる。その第一歩がここから始まるのである。各員奮励努力せよ!皇国の荒廃はこの一戦にある。集合地点は確認できているな、殿しんがりは私が引き受ける。混乱を興し、放火しながら逃げよ、無力な囚人をできるだけ助けてやれ!各員解散、襲撃開始の合図を待て!」もちろん皇国ではない。


30人の同志を前にして、演説を行い、散開させる。

彼らの多くは、なぜか開錠のスキルを身につけていた。

彼らは自室でその時間を待ち、決行とともに、囚人たちの部屋を開けて回る。

俺は彼らの為に、治癒術をかけて回る。

刻一刻と決行の時間は近づいていた。


それは、この世界にとっての悪魔が羽ばたき始める時でもあった。

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