第10話 鉱石
010 鉱石
「いいか、鉱石といっても、いろいろある。鉄はすべての基本だ。だが鉄だけでは、よい武器にはならない。合わせる金属が必要だ。それに、貴金属は
「ふ~ん」
「なんだ興味がないようだが」
「俺は奴隷だからな」
「稼げばここでの待遇もよくなる。脱出も可能かもしれないぞ」
「自分を買い取るのか?」
「そうだ」
「だが、俺はだまされてここに連れてこられたんだぞ」
「だからといって、どうするんだ。警備の数は相当なもんだ。脱出は無理だぞ。それこそ強力な攻撃スキルでもないとな」
「ああ」
「どちらにして、あせっても何もよくはならない。時を待ち、実力を蓄える必要がどちらにしろある。鍛冶でも、戦闘能力でもな。耐えて耐えて耐え抜くんだ。実力が届くまではな」
様々な鉱石をアイテムボックスから出して、鑑定させられる。
鑑定自身もかければかけるほどレベルが上がるのだというのだが。
「これは?」
「ミスリル銀」
全く、何も出てこない。
「これは全く初見のようだ、何も情報がない」
「そうか、さすがに希少金属だ。これを探す。これは魔力の通りの良い金属だ。これで武器を作ると、魔法剣として扱いやすい。防具にすれば、魔法の耐性が上がる」
「ここにもあるのか」
「そうよ、ここが不思議なのはこの金属すらあるということさ、だが、もっと深くに行かねばならん。そして、そこに行くと魔獣が発生し始める」
「魔獣!」
「こんな格好でいっても死ぬだけだからな。戦闘技術がないと難しいだろう。儂は一人で挑んだが、やはり無理があった」
「俺は、死にたくない」
「そうだな」
しかし、ゴブニュの目には炎が宿っていた。
狂おしい何かを求める怪しい光が暗く燃えていた。
そう、この男にも何かを求める狂気が存在する。
この男も何かの闇を抱えている。
勿論俺もだがな。
だが、今はそれを燃やす時ではない。
届くまで、耐えねばならないのだから。
鉄鉱石を探し掘る。
その中で、別の金属の発見にも成功する。
この世界には、いわゆるファンタジー金属が複数あるそうだ。
その代表格がミスリル銀なのだそうだ。
俺の鑑定では、やはり武器に使う鉄や合金の材料と思われる金属が詳しく解説されている。
鉄、アルミ、モリブデン、銅、タングステン等である。
「ああ、おっさんまたかなり潜ったな」
また、あの日の倉庫で蔵出しをしていた。
「こいつを俺の宿泊所につれていきたいんだが」
「それは無理だ」
また、この前と同じ会話になる。
倉庫の端に人々が見える。
「あれは何をしている?」
「錬金術だ、余計な物質を取り除いている」
「錬金術!」
ファンタジー技術だった。
「スキルがあれば、食っていけるぞ、ただしかなり極めていかないととだが」
錬金術:魔力を消費して物質の性質形状などを変更する。
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
初見の割には、かなり詳しく述べられている。
なるほど、説明を読んでいると、これは合金技術にかなり近いものであることがわかる。
魔力とは?
魔力:空気中にある力、力を吸収して魔力とする。
魔力袋にためることが可能。切れると意識を失う。
・・・・
・・・・
・・・・
・・・・
これも初見のはずだが、やはり詳しい。
説明を読んでいくと、これは、丹田にためる気に非常に似ていることに気づく。
武術の神髄は丹田に気をためること、それを技の発動時に開放することなのだ。
うん?そうなのか?
それは、不可解な反応だった。
当然のことなのだが、いま思い出したような違和感だった。
まさに、その違和感こそが、この世界で苦しむ原因なのである。
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