第4話 謁見

004 謁見


こうして、まんまと腕輪をつけられて、安全になったので、謁見である。

俺の周囲だけ、兵士が囲んでいるが、ここでの俺はの役割なのだと推測できる。


衛兵が縦列に並んでいる中を高校生たちそして、護衛(監視の方が適切か)付きの俺が進む。

跪かされる。

「よくぞきた、勇者並びに聖女諸君、我が国は君たちを歓迎する。一部違うのもおるようじゃが、ご愛敬というものよな」

ハハハハハ笑い声が謁見の間に広がる。

「我が国には、勇者が召喚されるとき、魔王が現れるという言い伝えが存在する、だが、心配は無用じゃ。君たち勇者には、魔王を退ける力がある。それが神のギフト、スキルなのだ」


勇者が魔王を退ける駒であることが説明されていく。

つまり、君たちは魔王討伐隊ということなのだがな。


「で、そこのツクとやらは何をしに来たのかね」

ハハハハハ又笑いが起こる。

「わたくしは」

「もうよい、ツクとやらは、いわゆる巻き込まれ転移というやつじゃ。金貨を褒美として取らせる。準備ができ次第、どこへともなり行くがよい」

ハハハハハ!

「お父様、それではかわいそうですわ、せめて心の整理がつくまで、少しはおいて差し上げては?」と王女役。

「うむさすがは王女、こころ優しいな。勇者と結婚してくれればこの国は安泰じゃな」

自分の娘を王女と呼ぶ、王がいるのかは不明だが、楯突くとヤバそうなので、屈辱に耐えるふりをする。


記憶がはっきりせず、何かすしているのだ。

とにかく、状況の解析と現状把握にすこしでも時間がいる。

時間稼ぎをしないとまずい状況なのはわかるのだ。


鑑定でできることを探すことは勿論、この国の状況、この世界の状況などを知る必要がある。

そして、魔物や魔王のことなど知る必要のあることは、いくらでもある。

情報こそが死命を制するといっても過言ではない。

ええっと、そうなのか?

どうも、この辺のあたりがおかしいのだ。

ツクは思ったのである。


それにしても、鑑定すると、武器だけは妙に細かく記されていることに気づくしかないというほどに、鑑定結果が現れる。

俺は、武器の鑑定の達人?ひょっとして、武器屋鍛冶だったことでもあるのだろうか?


そこは、庶民では入ることは許されない、王国図書館。

それだけでも、破格の待遇だ。

形だけでもということで、1週間の時間が与えられた。



王国図書館は、王国建国からの様々な本が収蔵されている。

歴史も数百年を重ねている、非常に重厚感のある場所となっている。

ただし、この本を読むべき人間(王族・貴族)はほぼいない。

本好きの司書たちだけがこの場にいるといっても過言ではない。

司書たちは、この貧相な男に手を貸さないように言われている。

しかし、本来そのような気遣いなど無用である。

庶民(と思われている)が字を読むことなどできるはずがないからである。

彼らは、ただただ、本がけがされることだけを心配していたのであった。


「一週間以内に、できるだけの情報と手がかりを得なければならない」

先ほど、そのような内容の著書があるかを聞いたが、国家機密につき教えることはできないといわれた。

つまり、協力はしないと宣言されたということであろうか。


絶望的な状況ということである。何万冊を超える本のある中で適切な本を探すことは、非常に難しいであろう。


だが、ここで奇妙な現象が発生する。

本棚の一つが光る。

「何!」

ツクはその本棚に吸い寄せられる。

すると、一冊の本が押し出される。

「なんだと」

これはいったいどうしたというのか?

だが、なんらかの手助けかもしれない。

ツクはその本を手に取る。

「そうか、これか」

ツクは、その本をもって机に向かう。

ツクは一心にその本を読む。

そして読み終わる。

近くの本を手に取る。

ページをハラリハラリとめくっていく。

「なるほど」


それから、次の本を探す。

光る本棚現象、これは一種のポルターガイストなのか?は続く。

どんどん本を積み上げて捲っていく。

なるほど、それは捲って遊んでいるように見える。

司書たちは、本を遊び道具につかうこの男を苦々しく見ていた。

「この本はなおしてよいですか」

「ああ、すいません。お願いします」

「いえ、本のためですので」

遊びおえた本が戻されていく。


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