#31 リアルオープーンワールド
学校のポートの前でユウキが右手の甲をかざす。
「目的地、台場、PrimordiaTatooine。ポート乗り換えは5回です」
案内音声と共にポートが開く。
俺とユウキはポート内に足を進め、ポートが閉じて転送されるのを待った。
「乗り換え5回、まぁそんなもんか」
「学校郊外だしな。トランジットまで直通なら便利なんだけどなー」
「確かに」
高速輸送網の大半は都市間を繋いでいる。
マイナーな個人スポットは、最寄りの都市ポートと繋がっていて、
今回台場に開設されたヴァーチャルオープンワールド、
技術的にはポート同士は直接転送できる。
例えば個人の家のポートから、都市ポートもしくはトランジットまで、転送可能である。技術的には。
同様に個人の家のポートから
しかし、それを許すと転送コストは膨大になる。
だから、転送可能なポートの対象範囲にはいくつかのランク設定があり、ランク毎に設置料金が違う。
トオルとユウキが通う学校は全学生の家から学校までの直通転送が出来る分、最寄りの都市ポートとしか繋がっていない。
「着くまでにPR映像とチュートリアル見とこうぜ。俺ので一緒に見るんでいい?」
「いい?
「タドコロ
「あ、ついでにペアリングかトラッキングかけといて貰えないかな。ユウキとはぐれたら、生還できる自信ない」
「既にリアルオープーンワールドプレイ中かよ。タドコロおっもしれーっ」
ユウキは軽快な会話を続けながら、エムラップから出したスクリーンをテキパキ操作する。
俺は右耳後ろのチップを人差し指で数回叩いて、「俺」の外部ポートを接続可能にした。
「いくつかの基本アプリでペアリングした!」
ユウキがそう言い終わるよりも早かった。
目の前にセルフスクリーンが現れて、ユウキの映像体験アプリやチャットアプリなど、いくつかのアプリとのペアリングや接続の許可を求めてくる。
「イエス。イエスで」
俺は一応確認しながら許可を出して行く。
その様子をユウキが横からニヤニヤ見ていた。
「音声認識かよぉ~。久し振りに見たわ」
「ふ、普段は
「別に悪いとか言ってないだろ? かっけーよ、まぢで。俺もやりたい。『イエス、イエスで』」
イエス、のところで渋めの声色を出すユウキ。
おちょくってるな、こいつ。
唇をきゅっと結んでユウキにジト目を向けた。
「よしっ、タドコロ準備オッケー?
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