#27 再会
「ただいまーっ」
帰宅して一番に転送BOXを確認する。
他の郵便物をリビングのテーブルの上に置くと、俺はそのまま自分の部屋へと向かう。
部屋に入ると
「おかえりなさい、トオル」
「プロジェクター届いたよ」
「セットアップする?」
「あぁ、今シリアルナンバーを出すよ」
箱を開ける手がはやる。
「トオル、学校はどうだった?」
画面の中のミリは、同じ動作を繰り返している。
俺は無意識に目を背けている。
画面の中のミリは酷く機械っぽくて嫌だ。
「何も問題なく終わったよ。シリアルナンバーってどこに書いてあるんだ……」
「電源ボタンはわかる? それを押せば自動でシステムが読み取るよ」
「あ、これか」
「合同授業で、たくさんの人と話したみたいじゃない。トオルって社交的なんだってビックリしたよ。楽しかった?」
画面にプロジェクターのシリアルナンバーが表示された。
電源が入ったプロジェクターを
「新しいデバイス、プロジェクターSS391をセットアップしますか?」
「イエス」
「セットアップを行います。終了後は起動しますか?」
「イエスで」
ミリの顔をした嘘臭い微笑みが揺れる中、画面にセットアップの進行状況バーが現れた。
あっという間に100%に到達すると、画面は別の映像に切り替わった。
リロトゥリラ~
プロジェクターが発光して、うっすらとニュートリノが人型を構築していく。
良く知っている背格好で、見慣れた顔立ちの女の子だ。
ふっくらした目蓋が閉じていた目をゆっくりと開け、大きな瞳が光を帯びて俺を見上げる。
ミリが、俺の目の前にいる。
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