第37話 9月2,3,4,5日(社会福祉協議会、チーター使いのお姉さん、ジャンプリハビリ、4回目接種と台風)

9月2日(金)


パパおかえり。金曜日なのに遅かったね。どこへ行ってたの?


町の社会福祉協議会。

身体障害者協会に入ってるからいつの間にか代表で社会福祉協議会の理事にされていたのか。


パパ、社会福祉協議会って何するの?


パパもよく分からないから今日、質問して色々教えてもらったって。


身体障害者協会の会合とか行ってたっけ?


コロナ禍になってからイベントもほとんど中止になってるし、会合も平日の昼間だから仕事で殆んど参加してないんでしよう?


そんなんで、代表でいいの? まあ、いいか。いいのかな?


人々の暮らしを豊かにするのが目的らしいけど、あたいたち猫の暮らしも豊かにしてくれないかなぁ? キャットウォークとかうちには何もないよ。



『カーテンレールの上を歩きなさい』かぁ。


ああ、お金無いんだね、パパ。


9月3日(土)


パパ、スマホ見ながらなにニマニマしてるの?


知り合いの元中洲のクラブの女の子をSNSで見てるのか。


え〜ぇ、あたいにも見せて、ママには内緒にしておくから。


………


ひぇ〜、チーターと一緒に写真撮ってるじゃない。チーターカッコいい。この女の子、こんな可愛い顔して、チーター使いなんだね、怖っ。


…………


ひゃ〜。こっちはゾウさんじゃない。ゾウさんと一緒に池に入ってる。この子ゾウも扱うのね。怖いわね。あたいも使われるようになるかも? パパ、こんな子が好みなの? やめて。


 プーケットの動物園なのか。動物と一緒に写真撮ってくれるんだって。

この子、コロナ禍になってからは一度も会えてないけど、会おうと思っても香港へ行っちゃってるからもう会えないかもって。


 まあ、パパに若くて可愛い女の子は似合わないから諦めなさい。若くて可愛い女の子、ここにいるでしょう?


9月4日(日)


パパ、今日は家にいるんだね。

リハビリしよう。


…………


はい、鈴入りリンゴ持ってきたよ。よろしくお願いします。投げて下さい。


「はい、やろうか、じや行くよ」

リンリン

「リンゴは〜い」


玄関前ね、オッケー、ダッシュ。


…………


「わ〜、凄いねぇ、スピちゃん。お利口、おりこうさんだね。じゃ、今度はこっちね。は〜い」


今度はリビングね、オッケー、ダッシュ。


…………


「凄い、すごいね〜、スピちゃん、ヨシヨシ。ベッドへジャンプもしてみようか? 行くよ、は〜い」


犬じゃないんだけど、パパのヨシヨシの顎撫で気持ちいい。

ベッドの上か、行けるかな、オッケー、ジャンプ……あっ、出来た、できたよ、パパ、見た? リンゴも捕まえた。リンゴを咥えて、ベッドから飛び降りて、はい、パパ持ってきたよ。


「おお、凄い、すごい。出来たじゃん、ジャンプ。やったじゃん。スピちゃんヨシヨシ。じゃ、ベッドまた行くよ、は〜い」


オッケー、ダッシュアンドジャンプ。


あっ、今度は、さっきより上手くいってる感じゃない? パパ、見た?


「おお、上手くなったじゃん。凄い、すごい。すごいなぁ。じゃあと2回ね、は〜い」


えぇ、あと2回でやめちゃうの? オッケー、ジャンプ。


リハビリは、やり過ぎは駄目なのか。楽しくしないといけないんだね。

 

サッカーと一緒?


9月5日(月)


パパ、おかえり。

早いね。まだお昼前だよ。何するの?


新型コロナワクチン接種4回目なのか。


ママは行かないの?


2回目3回目と高熱が出たからもう行かないって。


パパみたいにあまり外には出ないから良いのかな?


台風が近づいているみたいだよ。デカいし、強いって。西側通るから気をつけろって。夕方から風強くなるみたい。もう風吹いてた? 

パパ行ってらっしゃ〜い、気を付けてね。


☆ ☆ ☆


パパ、遅かったね。ワクチン接種でなんかあったの?


 グラウンドのジュニアのゴールが台風で飛ばないようにタイヤから下ろして、壁にくっつけて水が入った重いタイヤを軽いゴールに載せてきたのか。ネットが付いてるゴールは強風で浮き上がるんだって。


転がらないようにしてきたんだね。ワクチン接種後にそんなに動いて大丈夫なの? 


もう、休んどくって。


夜は台風になるしね。


明日は、10時出勤になったって連絡あったみたい。

 ママが段ボールを窓の内側から貼ってる。ガラスが割れても飛散しないようにするんだって。

30年前は、近所の瓦が飛んで来てリビングのガラスが割れたんだって。


アルク兄ちゃん知ってる?


まだ全然生まれてないか。3歳だもんね。

その時は、パパが咄嗟にテーブルを倒してガラスが割れた部分に押し当てて難を逃れたんだって。後で確認したらテーブルに深い傷が付いてたって。ガラスが割れたあとも同じ所に瓦が手裏剣みたいに飛んで来てたみたい。家が風で揺れるし、怖くて2階には居れなかったって。

丁度台風の目が通って、風が止んで晴れ間が出て、近所の人と『酷かったですね〜』と話をして、また吹き返しの後半戦が始まったって。3日間固定電話が不通になってたことも気づかなかったんだって。携帯電話もその頃は持ってなかったんだよね。気づかないかな?


 だから台風は、警戒してるんだね。

 結局、この日パパは、夜中の2時まで起きてだけど雨雲レーダーを見ながら、『峠過ぎたみたいね』と言って寝てしまった。


パパ、あたいもアルク兄ちゃんもママも起きてだけど

あれからまだけっこう風酷かったよ。



※ 各話に対応した画像を各話掲載告知近況ノートに1枚ずつ載せています。興味があったらこちらも覗いてください。

https://kakuyomu.jp/users/iwatahei/news/16817330648228165605



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る