第25話 6月26日、28日、29日

6月26日(日)


ああ、なんか暑いね。だれ〜ってなっちゃう。朝は雨でジュニアの練習、中止になったのにね〜。お昼から晴れて蒸し暑くなっちゃった。リビング、エアコン入ってるけど、なんか暑い。床で寝ましょう。ソファの上より床の方が涼しいもんね。パパも部屋着短パンだね。あたいを無理矢理抱っこしようとするからあたいの爪で膝の上、傷だらけだね。あたいの爪鋭いからね。

最近ママからも爪切りしてもらってないしね。爪研ぎ練習しておくね。少しできるようになってきた。


ママ、ママ見て〜。

ほら、大きい松ぼっくり。大きい。お姉ちゃんの部屋にあったよ。凄いね。あたい持って来ちゃった。

口に咥えて持ってこようとしたけどあんまり大きいから、階段を一段降りただけで口から離れてカランコロンコロンって、下まで転がっちゃった。あたいも負けないように追いかけたんだけどまだ無理だね。これ、だれの松ぼっくり? お姉ちゃん、ママ? 二階やっぱり面白い。でももう、梅雨明けしそうだし、暑そうだね。


えっ、熊本で地震、震度5弱? ママやパパの実家大丈夫なの? 

大丈夫そうね。良かったね。気をつけないとね。6年前の震度7の熊本地震の時は、この辺もけっこう揺れて、ルーク兄ちゃんは、怖がってパパのベットの下に隠れてたんだって。ルーク兄ちゃん賢いじゃん。机の下やベッドの下に避難するのは正解だもんね。パパは、その時、丁度、佐世保市の病院の5階に入院してて、トイレで揺れたから必死で、捕まってたんだって、大丈夫だったの? 濡らしたりしなかった? その後、夜中じゅう津波警報が港に鳴り響いてたって。 


被害がないのを祈らないとね。まだテレビで地震情報が流れてる。


さあ、あたいは、ご飯食べたし、寝よう、寝よう。パパも一日家にいたから面白かったけど、パパの相手をするのも疲れたわ。

おやすみ〜。


6/28日(火)


パパ、もう寝るの?

おやすみ。スピカね、アルク兄ちゃんともう少し遊ぶ。ちょっとやってみたいことが………

アルク兄ちゃん見て、ほら、あっ。

ガランゴロンゴロン

凄い音、うちわがたくさん入ってて面白そうだったのに。落ちちゃった。


「あ〜あ、スピちゃん、しょうがないなあ」


ママごめん、片付けてくれるの。ありがとう。

あつ、パパ、起こしちゃった?

音凄かったよね〜、面白い。

じゃ、パパ、おやすみ。ママが片付けてくれるって。



6/29日(水)


「あっ、スピちゃんが……虫、虫……」


ママの声が。


この〜、この〜!もう、逃げられないわよ。あたいが捕まえたんだからこんな時のために、鈴入りリンゴで普段練習してるんだからね。さあ、観念しなさい。


「ああ、ゴギブリ。だめだめ、スピちゃんダメって、ゴギブリ。あっち行って」


あ〜ん、何するのさ、パパ。あたいが捕まえたんだから逃げちゃうよ。

あああっ、だから行かせてって。離して、パパ。

あっ、今度は、ママまで何するのさ、放してって、行かせてってばぁ。

え〜っ、何? 

パパ、逃しちゃたの? ソファーの下に逃げられた? 

何やってるのさ、パパ。あたいの獲物なのに、もう〜。

「ゴギブリ全然居なくなってたのに……ホウ酸ダンゴ置かないとだめかな?」


何、その団子とかなんとか、食べられそうな名前の物、何んなの、ママ。

で、パパ、やっぱりゴキちゃん逃しちゃっの? あ〜あ。また出て来たら今度こそ、あたいが捕まえてパパに見せてあげる。食べないし。

アルク兄ちゃん、パパが団子とかなんとかいう奴いっぱい隠して置いてるから集めよう。

どちらがたくさん集めるか競争しよう。ほら、あたい、もう一つ見つけてママに見せたもんね。



「あっ、ダメ。ゴギブリ団子、舐めたらダメよ」


舐めてないよ。持って来ただけ。

ほら、ここにもあつたよ。アルク兄ちゃんは見つけた?


「パパ、スピちゃんたちが取れない所に入れないとダメ」


ええ、もうないの? 届く所にはないの?

残念。手でポンとしたらスルスルと滑って面白かったのに……あ〜あ、またダメかダメなものばかりだね。分かった分かった。


猫は辛いね、アルク兄ちゃん。


 ゴキちゃん出てくるの待っとこう。ホウ酸団子よりまだマシなんでしょう? 知らないけど。そんなに危ないなら何でそんな美味しそうな名前がついてるんだよ? 


全国の猫ちゃんたちも気をつけよう。

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