conflict
忙しいことは有難いことだ。
誰かに言われたその言葉に僕は疑問を抱く。
「有難さを忘れてただ疲れという沼に浸かってしまったこの現状は、有難いものなのか」
新しい自分になりたくて、今までずっと、走り続けてきた。夢を見て、理想をさらに大きくした。
自分自身、己を信じて突き進み、結局報われるまま、幕が下りる。
悔しくて泣いている僕の隣で、栄光を掴んだ誰かが笑っている。降り注ぐ拍手とフラッシュ、そして歓声。全ての注目を集めた僕の隣の誰かは、笑顔、そして涙を流した。
葛藤している。あの時の僕と。
同じ自分のはずなのに、僕は負けている。形容し難いこの痒みと妬みが、より一層分からなくする。答えは必ず、存在する。しかし、それが見つからなくて焦る僕は、何か置いてきたのだろう。
ただひたすらもがいて、そして疲れて倒れる。疲れに支配されて体が動かない。そしてそのまま眠りについて、僕は朝を迎えるのだ。
時間は同じ空の下、平等に流れていく。誰かが極端に多いわけでも少ないわけでもない。一日は7回繰り返される。季節は巡り、そして一年が経つ。
「なにもできなかった」
成長しない自分にため息をつく。気付けば思いつくのは、足りないものばかりだった。
○○がない。○○が出来ていない。○○が……。挙げられるものに終わりなどない。
本当は分かっていた。自分に何が足りないのか、その他全てを知っていた。それでも、僕は目を瞑っていた。
葛藤している。僕の中の僕と。
弱さを見せたくなくて、目を背けてきた。周りからの声が痛くても、信念を曲げないために言い聞かせた。しかし、自分に正直になれなくなってしまった。そんな自分が嫌いだ。
僕は闘っている。
なくした答えを探し求めて、歩きまわる。そして、また、走る。
なりたい自分と今の自分とのギャップにこれからも悩み、苦しみ、振り回されるかもしれない。それでもいい。今はひたすら僕を磨くしかない。
そして、僕は求める。──疲弊しきった身体が潤いで満たされること。
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