光
光を照らすと、必ず陰ができる。
誰かが望んだわけではない。しかし、誰も望んでいない。光と陰は一心一体の切っても切れない関係だ。
光の当たるところは目立つ。
そこはとても暖かくて、みんなの目に止まり、注目される。そしてその人は目を閉ざしたくなるくらい輝いている。
誰もが憧れるその
でも、陰の部分は──ここはスポットライトの当たるステージとは対照的に、暗くて見えない。光など当たらないから冷たい。
君は冷たい地面の上で、一人、打ちひしがれていた。
注目されるのは、みんな、光の下で唄う人たちで、薄暗い陰で唄う人は、存在すら知られていない。そして、誰も見ようとはしない。隠れた悲鳴に気付こうとしない。
「もっと私を見て」
そう、いつも、叫びながら、あなたは自分の中にあるものを詰め込んで、必死に、
自信を持って作ったものは、綺麗だ。誰にも真似できない、世界でたった一つの何かがあり、その形は今までになかった、新しいイビツな形。
あなたはときめいていた。しかし、
「なんかかわいそうだ」
ただ自分一人で感じただけの想いで、君は評価された。本当は軽蔑しているのに。見下していない、そんなアピールを周りが自分を見る評価のためにしているだけなのに。評価された人が傷付くとも考えずに……。
誰も見ない。その人が努力している姿を。それから生まれたものさえも。
悲しかった。
君はまた打ちのめされて、自分が積み上げてきたものを壊して、散らかした。崩れ落ちて、膝を抱えて泣いた。
傷付き、壊れる心。傷んだ身体──しかし、それが美しかったり、何かの原動力になる。スポットライトに照らされる姿は、周りからすれば、とても羨ましい。妬ましい。しかし、本人だけしか知らない、痛みや壊れたいくつもの何かがあり、それを今まで繰り返してきたのだろう。
「光を照らしたい」
あなたは、眩しいぐらい、自分にしか出来ないものを作っている。暗くて寂しいこの場所で、自分の存在を、何度も何度も、アピールしている。照らされるのは怖いことかもしれないけれど、あなたは輝いていれば良い。
あなたを照らす光になりたい。君はその下で輝けるから。
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