第8話 仕組まれた再会

――トゥルルル……


『おっす、おつかれ』


『今度の飲み会、設定してくれてありがとな』


『あぁ、これでやっとナオに会える』


『別れてから? さぁ、もう10年近く経ったかな……』


『ハハッ! 『しつけー』じゃなくて、そこは『一途』って言えよ!』


『あぁ、ナオは俺のことは覚えていない。だから初対面のフリでいくからお前たちも協力してくれ』


『ありがと。じゃ、また今度』


――ピッ


「ナオ、探すのに時間がかかってごめん。やっとお前を迎えに行ける」



◇ ◇ ◇


――ガヤガヤガヤ……


――カンパ~イ!


「はじめまして! ナオです!」


「健太です。よろしく」


「健太……?」


「……どうしたの?」


「いや、なんだか健太さんと初めて会った気がしなくて……」


「ハハッ! なにそれ!? それって男を落とすテク?」


「ち、違いますよ!」


「あっそ。なら俺たちどこかで会ったことがあるのかもね。もしくは運命の相手とか?」


「そんなこと言っていつも女のコ落としてるんですか〜?」


「バッ……! んなことするわけねーだろう! こう見えて俺は一途なんだよ!」


「アハハッ! 健太さん、面白〜い!」


(あぁ、ナオの笑顔久しぶりに見た。……ナオ、綺麗になったな)



――ゴクゴク……


「あっ、このお酒美味しい~! 健太さんも飲んで――」


「ねぇ、ナオちゃん。ナオちゃんってさ、付き合ってる人いるの?」


「えっ!? 急になんですか!?」


「いいじゃん、教えてよ」


「まぁ、そんな人いたら今日ここには来てないですよ~! そもそも彼氏なんて一度もいたことありませ~ん!」


「……ゲホッ! え!? 誰とも付き合ったことないの!?」


「な、なにか問題ありますか!? 仕方がないじゃないですか! これまでそんな気にならなかったんですよぉ!」


「じゃあなんで今日は来る気になったの?」


「えっ、なんでだろ……。よく分かんないけど、今日は行かないといけない気がしたからかな?」


「そっか……」




――ガヤガヤガヤ……


「あっ! そろそろお開きの時間みたいですね!」


「ねぇ、ナオちゃん。また会えない? 今度は二人だけで」


「えっと……、それはつまりデートのお誘いってことですか?」


「まぁ、そうなるかな。……ダメ?」


「ダメ……、じゃないです」



◇ ◇ 


 「ナオのことを忘れろ」と言われたあの日から、俺は一人で答えを探し続けた。

 そして見つけた ‟記憶をなくしたナオにできるたった一つのこと” 。それは、再びナオと出会い、この手で彼女を幸せにすることだった。

 

 ナオ、俺と一緒にまた一から恋をやり直そう。

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