第7話 勇者、賢者の有様を見せられる。
「勇者よ。昨日は聖女の姿を見せたが、今日は賢者の姿を見せてやろうではないか」
今日もパンツ……いや、言うまい。
やはり首が動く状態で魔王フォクスロリアは言う。
そして今回も同じようにパンツとの間の空間に映像が映し出される。
映像には、拘束された賢者が悲鳴を上げているのが映っていた。
言われたことを淡々と行い、人形のように表情を変えることもなかった賢者が……悲鳴を上げ、白目を剥き、口からは涎を垂らしている。
いったい何をされているんだ……。
「お主が倒されたことを伝えた瞬間、賢者は自爆魔法を使おうとした。
だから配下に拘束させ、わしらのためにその力を有効活用してもらおうとしておるんじゃよ。
くくっ、お主が再び賢者と会うとき、彼の者はお主のことを覚えておるじゃろうか」
自爆魔法を使おうとした? あの魔法は禁呪で、罪人が使うようにされた魔法のはず……。
知らされた事実に驚きながら、映像に映る賢者を見る。
とても苦しそうだ。そしてその責め苦は段階を上げた。
魔王の配下らしき人物たちが賢者に何か薬を注入し始めた。
すると賢者は恍惚とした表情を浮かべながら、拘束されたまま……漏らした。
酷すぎる……。
賢者を壊すつもりなのか?
目の前の光景を見ることが出来ず、目を背けることしか出来ない。
そんな姿に魔王は呆れたようにため息を吐く。
「なんじゃ、つまらん。仲間の姿を見れぬとはな。
今日の拷問はここまでじゃな。……眠れ」
魔王がそう言い、手を向ける。
……今日ほど、魔王による眠りが嬉しいと思ったことはなかった。
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