第5話「試練」
「剣を貸すのは良いどぉ。魔女は、ワシらにとっても天敵のようものじゃけぇ。彼奴(きゃつ)は、ワシらを滋養強壮剤の素材程度にしか見ておらぬ。仲間が何人羽をむしられ、身体をすり鉢で挽かれたことか。討ってくれるなら、助かるどぉ。ただし、じゃ。“剣に選ばれる”かどうかは別の話じゃけぇ」
「剣に・・・選ばれるのですか?」
「魔法の剣は生きているのだ。剣に気に入られなければ、それを手にすることはできないのだ」
「アランの手では剣は持てぬのぉ。娘っ子。剣に選ばれる試練を受けるか?」
「それで、両親の仇を討てるのなら」
「では妖精の国に行くどぉ。まずはこのキノコを・・・」
「嫌!!」
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「どうしてもキノコは食いたくないと言うからのぉ。仕方なくワシが直接、娘っ子を連れて行くどぉ」
「承知したのだ。レイラ、頑張って来るのだ」
「はい、アラン様」
「ここと妖精の国では、時間の進み方が違うからのぉ。向こうでの数時間が、こちらでは数日じゃけぇ。その間、お前は魔女の偵察でもしてくるといいのぉ」
「分かったのだ。では、行ってくるのだ」
アランのもこもこした身体が遠くへ去るのを見届けた後、妖精の長は口を開いた。
「お主も難儀な状態だのぉ」
「いいんです。おかげで、あの魔女に復讐できる」
「魔法の剣は気難しい性格と聞く。めげずに頑張ることじゃ」
「・・・はい!」
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――二週間後。
「アランたまーっ!」
「随分可愛らしい妖精が来たのだ」
「あの女の子の試練、終わったよー!」
「二週間か。結構、かかったのだ。余程、大変な試練だったに違いないのだ」
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「レイラ・・・。そなた・・・どうしたのだ?」
「へ、へへ。別に?大したことないですよ。目的のものは手に入れましたし」
キラキラと紫色に光る魔法の剣を人差し指と親指で嫌そうにつまむレイラは、どこかアンニュイな表情で、薄ら笑いを浮かべてている。
「そ、そうか。良かったのだ・・・?」
「とっとと魔女の首、刎ねに行きましょうよ、アランさん」
「う、うむ・・・(ヒソヒソ)長。レイラの様子がおかしいのだ?どこかやさぐれた感じがするのだ」
「あまり言ってやるんじゃないのぉ。察してやれぇ」
「気になって仕方がないのだ」
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