13人の村人と盗人と海を渡った村人の話
SpaceyGoblin
始まり
昔々人々は一家で一頭の牛を飼うことを許されていた。
それが村の掟なのだ。
ある村人は毎日牛の乳を飲んでいた。
毎日畑を耕し、牛に餌を作っていた。
その餌を食べ牛は育ち、良い乳を出した。
そしてその乳を飲んでと、ぐるりぐるりと回っていた。
隣の家では、
「牛の乳ばかり飲んでいるから、他の物も食べたい」
という欲求に駆られた。
牛の食べ物である草を食べたが、
「おいしくない」
「ならば牛をたべてみよう」
「おいしくない」
その村人は死んでしまった。
その村人は死んだ牛と一緒に火葬された。
牛の乳だけだった村人達が、肉の焼ける匂いに自然と腹を鳴らした。
村人達は、
死んだ村人と、牛を食った。
死んだ村人を食った村人は、
「こんな肉食えたもんじゃねぇ。毒だ。」
と吐き出した。
ある村人は、
「なかなかの味じゃねぇか」
と飲み込んだ。
死んだ牛を食った村人達は、
涙を流すほどの美味しさに仰天した。
だが、ある村人は、
「こんなもののどこがおいしいの」
と吐き出した。
村に戻った村人達は、
死んだ牛の味が忘れられずに、
自分の牛を殺し焼いて食べてしまった。
その後3人の村人は死んでしまった。
その中で、
まだ生きている牛を隣の家からもらおうと考えるものが出てきた。
ある村人は、
村人に対して常に優しくし、
一緒に餌をつくるのを手伝ったりしていた。
そして、
ある村人は隣人が寝静まった頃に、
牛を盗んでしまおうと考えた。
牛を盗んだ村人は、
朝になる前に牛を焼いて食べてしまった。
そして牛を盗まれた村人と牛を盗んだ村人は、
食べるものがなくなり、
死んでしまった。
隣人に優しく接していた村人は、
隣人の心の変化のなさに気付き、
隣人を殺し、牛を奪った。
その全てを見ていた村人がいた。
その村人は、一日乳を飲むのを我慢し、
乳を次の日に持ち越した。
次の日の朝、その乳を飲み、
その日の分の乳をお隣さんにあげることにした。
お隣さんはそれを受け取った。
次の日の朝、お隣さんはもらった乳を飲んだ。
自分の牛の乳を出そうとした時、
また村人が乳を運んできた。
お隣さんはそれを飲んだ。
次の日も、また次の日も、
同じことを繰り返した。
するとお隣さんはみるみる太っていき、
家から一歩も外には出なくなった。
村人はその後も数回続けたが、
ある時、隣人の家に来た村人は、
何も持たずに、
「今日も気持ちの良い天気ですね」と言った。
隣人は問う、
「乳はどうした?」
村人は、にやりと笑い、
「足袋の紐が切れてしまって、新しい足袋に履き替えたかったところです。あなたの足袋と乳とで交換しましょう。」
と言った。
隣人はしぶしぶ頭を縦に振った。
次の日村人は乳を持っていった。
「今日はそのクワと交換しましょう」
毎日毎日繰り返し、
隣人に残されたものは牛しかいなくなった。
「牛と交換しましょう」
そして隣人は死んだ。
残された牛と、家を引き取り、
その牛は、
焼いて食べた。
その後は、乳だけで暮らした。
この村人は周りから避難された。
掟を破ったからだ。
それを見ていた新たな村人は、
避難された村人の真似をして、牛を手に入れた。
手に入れた牛を食べてしまえば、
もう牛を二度と食べられないかもしれない。
なにか策はないものかと三日三晩考えた。
少しすると、牛が一頭増えていた。
産まれた牛を焼いて食べた。
次の日も、次の日も焼いて食べた。
すると、ある日三頭目の牛があらわれなくなり、
ある日飼っていた牛二頭とも死んでしまった。
村人も死んでしまった。
村人達は、この村人を避難し、
誰も葬儀には出なかった。
そして、それを見ていた村人は、
掟を破った村人の真似をした。
順調に三頭目の牛が産まれたが、
この村人は、一日食べるのを我慢した。
すると次の日には、
牛がもう一頭増え、四頭になっていた。
すると次の日は六頭になっていた。
毎日毎日たくさんの牛を食べ、たくさんの乳を飲んだ。
そしてある日、盗人が現れた。
過去に牛を奪った村人は、
処刑された。
その後、
たくさんの盗人を処刑したが、
ある日、盗人を処刑せずに、
牛の餌を作るように指示をした。
すると村人は家から出てこなくなった。
それを見ていた盗人達は、
村人から全てを奪ってしまおうと、
村人を殺してしまった。
盗人達が毎日毎日たくさんの牛を食べたことによって、
牛が一頭になってしまった。
その牛を巡って盗人同士の争いが起きた。
最後の一人になった盗人はその牛を食べて死んだ。
この村には、
乳だけを毎日飲んでいる、家を持った村人と、
乳は毎日飲んでいるが、牛を食べた経験があり、
家を二軒持っている村人だけになった。
二人は気が付くと一緒に居て、
ある日三人になった。
牛の時の経験を活かし、
四人になるのをまった。
その間に牛が三頭になり、
それに続いて四人にもなった。
牛が四頭になると、六人に。
どんどんどんどん牛も、人も増えていった。
家が溢れかえり、寝る場所もなくなってしまった。
ある村人は、外に出掛けるようになり、
そしてある村人は近くに新しく家を作った。
ある村人は、同じことを繰り返した。
ある村人はとうとう海を渡ろうと決心した。
だがなぜだろう。
大きな海を渡ろうとした者は、他の村人からバカにされ、笑われ、そして非難された。
その後、村人は団結し、全員で同じことをぐるぐると繰り返した。
海を渡った村人は、そこでキスをされた。
13人の村人と盗人と海を渡った村人の話 SpaceyGoblin @spaceygoblin
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