それぞれの過去と思い 二十六話
私には10つ上のお姉ちゃんがいた。とても優しくて私をいつも守ってくれた。そんなお姉ちゃんが私は大好きだった。
けれどある日お姉ちゃんは死んだ。朝起きたら玄関で倒れているのを見つけた。
血がお腹から出ていて止まる気配はない。けれどその時にはお姉ちゃんは死んでいた。
それからお母さんは病気になってしまった。私はショックが積み重なり体調を崩すことが何度かあった。
そんな時にライと出会った。私はライに支えられながらなんとか生きてこれた。けれどお母さんの病気は悪化していく一方。
そこにあのサイジが現れた。サイジは私の考えを承知してくれた。その後、サイジはこう言った。
「君の姉を殺した犯人を知りたいか?」
なんでこの人が私のお姉ちゃんのことを知っているのか、最初は驚いたけれどすぐに私は、はい、と答えた。そしてサイジは言った。
「君のお父さんだ」
と。私のお父さんは小さい頃に死んだ、と言われてきた。最初はそんなの信じなかったけれどサイジが今まで調べてきた事柄を見て確信した。
そして私は暗殺者となって父に復讐することにした。自分の子供を捨てておいてゆくゆくは殺す。怒りが込み上げてくる。
私は父の情報をかき集め復讐した。その時の父は裏社会のボスの側近の立場にいた。どうやってそこまで登りついたのかは知らないが、復讐するのに手間がかかった。
父と会った時謝るのかと思えば嘲笑いながらこういった。
「お前の母親は役立たずだった。お前の姉もだ。俺が助けてやるからお前たちは俺の駒となれと言ったら拒んできた。だから殺した」
私は今すぐにでも引き裂きたかったがその場ではできない。周りには沢山人がいたからだ。
だから私はサイジの力をかりつつ父の立ち位置をボロボロに崩し、どん底に突き落とした後に殺した。
申し訳ないと言う気持ちは一切なかった。むしろ、清々した。父は最後に
「お前といい姉といい、お前らは腐ってるな」
と言った。
「あんたの血を受け継いでいるからじゃない?」
それだけいい殺した。姉と同じように。お腹に刺して。
「私は父とおなじ殺人鬼。もう、戻れない」
ジーナの目に涙が浮かんでいるのがわかる。辛かっただろう。本当は今すぐにでもライの元に戻って、元気になったお母さんに会いに行きたいだろうな。
けれど今の姿を見せたくない。ジーナはジーナなりにライを悲しませないようにしているんだろう。けれど、それがライにとっては辛い。
「ライはどう反応するかな?軽蔑するかな?私を、怖がるかな?」
どう答えればいいのか分からない。けれど一つだけわかる。
「私はライではないので、ライがどう思うかは分かりません。けれど分かることとしたら、何も言わずにまた消えることがライにとっては嫌だと思います。ライはあなたの友達です。きちんと話せばきっと理解してくれますよ」
ジーナはルーミを見つめたあと窓の外で泣いているライを見る。今すぐにでも駆け寄りたいだろう。
しかし足が震えている。どう反応するのか。怖くて仕方がないんだ。けれどライはきっと受け入れてくれる。
私はそう思う。ライはいつだって、優しい子だから。
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