それぞれの過去と思い 二十二話

「何かされたりしなかったか?」


カジノに戻るとクリストンがルーミに聞いてきた。


「いや、特に何もされませんでしたよ。ただお話ししていただけです」


「そうか、ならいいが。君のチップはあそこに置いてある。どうする?まだ続けるかい?」


「あ、そろそろ終わりにします。クリストンさんの100チップ返しますね!」


ルーミはチップをクリストンに返した。受付に行き、チップを返すとお金をもらった。チップ448は4800ドルに変わった。


こんな大金がもらえるなんて驚きで言葉が詰まる。日本円で確か448000。こんなにお金があったら毎日遊んで暮らしたい。そんなことを頭に浮かべているとイリスが横にいた。イリスの手にはたくさんのチップが入ったカゴを持っていた。


「そ、それ、どうしたの?」


ルーミは目を見開きイリスの手にあるカゴを指差す。イリスは平然とした様子で受付にだした。


「ゲームに勝ったらもらえた」


「す、すご」


「合計15000ドルです。どうぞ」


手の大きさほどの袋三つがドンっと置かれた。一つ一つパンパンだ。一袋5000ドル入っているみたいだ。イリスはそれを受け取る。


ずっしりとしていておもそうだった。


「ちょっと…15000って…150万?!」


つい日本円を言ってしまった。どんだけやってきたのだろう。凄すぎて自分の手にあるお金が軽く見える。


「運はいいからな」


イリスは袋を抱えながらルーミの腕にある袋を見る。見下されているように感じる。


「ふん。私だってもっと稼げるわよ」


「へぇ、手持ちゼロになる未来しか見えないが」


「まあまあ、落ち着きましょう。ルーミさん一緒にご飯を食べません。たくさんありますよ」


いつもライがとめに入るところをクリストンが止めた。クリストンの笑顔はカッコよかった。仮面越しでもわかる。ルーミは元気よく「はい!」と返事してホールへと戻った。


イリスは着いてこなかった。


ホールにはたくさんの豪華な物が置かれていた。確かこれらはアンドリーヌさんが作った物だ。どれも美味しそう。一番最初に目に止まったのはスイーツだ。たくさんイチゴがのったショートケーキ。


「これにしようかな」


「それじゃあ庭へ行きましょう。ここでは椅子や机は用意されませんので」


「確かにここはいろんな人が交流するために椅子などが置かれないのですね」


「はい。それではご案内します」


その後はいろいろな話をした。クリストンの家族の話やルーミの今までの体験を話した。楽しくて時間を忘れていた。この人は帰属なのだろうか。それとも私と同じ平民なのだろうか。


気になるがここでは聞かないルールなので、話さなかった。よく見ると、顔も整っている。オーラもすごい眩しい。


この人と話しているのが夢のようだ。

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