それぞれの過去と思い 十三話

「さあ、そこのソファーに座って」


サイジの向かい側にあるソファーにライを真ん中にして座る。部屋の中は豪華なものだった。大きな本棚にぎっしりと詰められた本。 床に敷いてある大きな絨毯。


この館は外見古く見えるが中は立派。廊下にはシャンデリアもある。


「何の話をしてたんだっけ?」


「なんで魔物を作ったり、カフェのマスターを攫ったりしたんだって聞いてるんだ」


「ああ、それはな、最近のギルドを組む者達は甘く見過ぎなんだよ、魔物をギルドってものを。ただ楽しそうだからギルド組んでいる者がたくさんいる。魔物はそう簡単には倒せない、知識もなければいけない。そういったやつに痛い目合わせるために作っているんだ。どれだけギルドが大変なのか現実を見せてるだけさ。ギルドは魔物を倒すだけではないが、ギルドを組んだからにはしっかり魔物を退治できるようになってもらうわはければいけない。これが理由さ」



全て話終わり、サイジは置いてあったお菓子を口に放り込む。


「だからといってやっていいことと悪いことがあるじゃないか。魔物が作られたせいで被害に遭っている者達もいるんだぞ」


イリスが地味にキレている。


「それを助けるのがギルドだろ?」


「それは個人の考えだろ。ギルドは確かに魔物を倒す役割を持っている。けれど他の意味もある。人の手助けをしたりもする。魔物を倒せない人たちがギルドを組んで色んな人の手伝いをするのが悪いのか?」


「人を助けることなん誰にだってできるだろ。そんなんだったらいちいちギルドを組む必要はない」


その時感じた。この人には話が通じない。自分の当たり前を押し付けてくる。サイジの言うことも一理あると思うが、全てが正しいとは思わない。


「はぁ、理由はわかった。じゃあマスターを攫ったのはどうしてだ?」


「ああ、あの人は料理の腕が一流だったから俺の家で働いてもらおうかと思ってな。攫ったなんて人聞きが悪い。しっかりと本人には了承を得たぞ」


「どうせ一方的に押し付けたんだろ。脅したりして」


「全く僕はそんな酷いことはしないよ。あの人には娘がいる。娘にはしっかりと伝えてあるはずだが」


「ずっとマスターを探してるよ。そんな話していなかった」


呆れてイリスが言う。するとサイジはキョトンとして、動かなくなった。動いたと思ったらため息をついた。


「…伝えるのを忘れていた…」


それを聞いた途端三人は同時に「はぁ?」とサイジを睨んだ。


サイジはやっちゃった、とした顔で笑いながら頭をかいた。


「どれだけオースタさんが心配してたと思う?三ヶ月間ずーっと探していたんだよ?!オースタさんに会ってしっかりと謝りなさいよ!」


ルーミが怒りを爆発させてソファーを立ちサイジの顔を見た。


「まあまあ落ち着けって二日後のパーティーにそのオースタって奴も連れてきな。合わせてやるよ」

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