それぞれの過去と思い 十一話
その日のうちにルーミ達は館に戻った。
受付にはいつとのおばさんが座っている。
「あら、あなたたち。カフェのお手伝いもクリアしたのね」
さすが情報が伝わるのが早い。
「はい」
「頑張ってるみたいね。これで星二つ。レベルアップにはあと十八必要ね」
クエストにはそれぞれ星一から星五までがある。それらの星の数におおじて、もらえる星の数が変わる。
星の数を20個集めると、一つランクアップして、C級になる。B級になるには星40個必要だ。
一つランクアップするごとに必要となる星の数も増えていく。
ギルドにはこのような仕組みがあった。
「あ、そうだ。今度ギルドを組んでいる人達が集まるパーティーがあるよ。その招待状だ。2日後、この招待状を持ってサンシルトにあるデビウス家の家に行きな。色んなギルド達と交流できる場だ。試しに行ってみな」
おばさんは三人分の招待状をライに渡す。
「あ、ありがとうございます」
「パーティーか……。一度行ってみたかったんだよね。ありがとうございます」
「私の名はアミリス・シェルトンだ」
おばさんが初めて自己紹介をしてくれた。
「シェルトンさん、ありがとうございます!」
名前を呼んでお礼を言うとアミリスは嬉しそうに微笑んでいた。
「おい、つぎのクエストはどうする?」
「そうね…。一旦クエストするのはやめてあの子について調べない?」
ライが言う。イリスも同感だ、という顔をしていた。しかし、館を出たもののどこから始めればいいかわからず立ち止まっていると、
「君たち、ギルドを組んでいるのかい?」
誰かに声をかけられた。振り向くと背の高い男が二人いた。
ライはビクッとしてルーミの服を掴んだ。ライは怖がっていた。どうしてだか分からないが、ルーミはライの前に立った。
「だれですか?」
「ああ、申し遅れたね。私はサイジ・ストーン。ギルドを組んでいるものだ」
その名を聞いた時ルーミとイリスの背筋が凍る。ライが怯えている理由が分かった。
今目の前にいる男こそが、ライの友達、ジーナを裏で操ってると思われるサイジだった。
「……私はルーミです。私たちに何か用ですか?」
「いやぁ、うちの部下がお世話になったようで、挨拶しに来たんです」
「部下……?」
ジーナのことか。こいつは私たちのことを知っているんだ。
「後ろにいる君。どこかであった気がするね」
サイジがライに話しかける。ライは黙ってサイジを睨んでいた。サイジはため息をつき三人に言う。
「君たち、僕をなんだと思ってるんだい?そんな悪い人ではないよ。ライ、君だってわかってるだろ?」
「どういうことですか?」
「僕はあの子の母親を助けてあげたじゃないか。なのに、どうしてそんな怖い顔をしているんだ?」
「…だからといって、どうして死んだフリをさせたんですか?」
ライがやっと声を出した。
「それは僕が決めたことじゃない。あの子自らが決めたことだ」
「え?」
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