それぞれの過去と思い 八話
「ルーミ。そいつ誰だ」
いつの間にかイリスがいた。
「果物を取りに来てたら、狼に噛まれて怪我してたのを助けたの」
「……そいつから離れろ」
「え?」
「いいから離れろ!」
イリスが声を荒らげた瞬間上から魔物が降ってきた。
イリスのスキル【ガード】でギリギリ助かった。
「ま……まもの……」
「おいお前」
イリスが男の子を見た。
「お前だろ。この魔物作ったの」
「……え?作るって……どういうこと?」
「とぼけるな。分かってんだよ。お前が最近魔物を作る奴で、カフェのマスターを攫ったってことくらい」
ライとルーミは驚きを隠せずにいた。
「ふん。よくわかったね」
男の子の姿は消え、同い年くらいの女の子が現れた。髪の毛はピンク色で目は青色だ。
「どうして分かった?」
「んなの簡単だろ。ここの森は魔物が出る。そんな所に小さい子男の子がひとりで来るか?それに果物を取るとか言ってたが荷物なんて一つも持ってないじゃないか」
「はぁ、ちょっと考えが浅かったな。まあいい、私の正体を知った者は」
スキル【想像】
「生きて帰らせないよ」
少女の後ろに何十体もの魔物が現れた。
「ルーミ、いけるか?」
「ええ、もちろん。ライは下がってて」
「う、うん」
ライは近くの木の後ろに隠れた。
前線に出た二人は魔物を次々に倒していく。スキルの使い方もままならないまま。
「ふーん、初心者……ではないか。けど、そんなんじゃ無理だよ」
スキル【想像】
「させるかよ!」
イリスが思い切り剣を少女に目掛けて投げた。
しかし剣は少女の頬をかすって落ちてしまった。
「全く、危ないな」
少女が剣を取る。
スキル【想像】
「はい、これであいつら倒しちゃって」
少女は自分で作った魔物にイリスの剣を渡した。
「イリス。そっちの魔物は倒した?」
「ああ」
「じゃああいつは二人で相手しよう。まずは剣は奪い返そう」
ルーミの合図で魔物へと向かう。さっきまでの魔物とは違く、体もでかい。
そして……
スキル【地鳴らし】
スキルも使ってくる。厄介な相手だ。避けるのも大変だ。
「これじゃあ近付けないな」
「どうした?手も足も出ないか?」
少女が嘲笑っている。その時だった
木の後ろに隠れていたライが出てきた。
「ライ!危ないよ!」
ルーミの声が聞こえてないのか少女に向かって歩いていく。
「おい、誰だおま……え」
さっきまでの威嚇していた少女の顔は消え、魔物も消えた。
「あなた、その姿本当の姿じゃないわね」
「…どうして?」
「さっきイリスが投げた剣。あなたの頬に当たってかすっていた。けれど血が流れなかった。あなた、スキルの【変装】を持っているわね」
「……」
「そして、その二つのスキルをもっている人……あなた、ジーナ……じゃ、ないよね?」
ジーナ。その名前に少女は反応した。ジーナって誰だろう。ルーミとイリスが顔を合わせる。
「……違うわよ」
「え?」
少女は黄緑色の髪の毛に赤色の目をした少女へと変わった。
「私の名前はムーン。ジーナなんかじゃない」
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