カフェの危機を救え! 五話

屋台には絨毯やハンドタオル、服、カーテン、クッション、何か液体が入った瓶、ケースなど生活必需品が売られている。


「あらチュラちゃん、また来てくれたのね」


「お久しぶりです!前に一人で来たのは3ヶ月前かしら、あまり会っていなかったけれどお元気そうで何よりです!」


するとおばさんはキョトンとした顔でチュラを見る。チュラは気づいてない様子で


「これが私が働いてるパン屋が使っているものよ。他にもいろんな香りがあるわ」


イリスはそれを見逃さなかった。みんなが夢中になっている中おばさんに話しかけていた。


「この匂い素敵ね。気に入ったわ」


オースタが気に入ったのはローズマリーの香りだった。甘いほんわかしているが、甘すぎずちょうどいいくらいの匂い。


「お母さんも好きそう…」


「それじゃあ決まりですね」


「このクッションとかも可愛いですね。今使っているのは捨てて新しくしようかと思っていたのでちょうどよかったです」


オースタは嬉しそうにクッションを選び始めた。30分くらいかけようやくクッションを決め終わると早速カフェに戻り内装を整えていく。


窓は業者さんが来て貼り直してくれた。前の世界とは違く、スキルを使って窓を張る光景は新鮮だった。一瞬で綺麗な窓に張り替えられている。


「さあ、あとはクッションとかシートを貼りましょ!」


ライはあらかじめ買っておいた床に貼るシールのようなものを取り出す。オースタも喜んで貼っている。


「こうやっておくだけで自然と綺麗にくっつくの。すごいわよね」


「魔法って便利だね」


ルーミが感心している間にあっという間に綺麗になった。最初来た時とは全然違う。


「たった半日でよくここまで綺麗にできたわよね」


「本当にありがとう、みんな。みんなのおかげでまたお店が開ける」


「おめでとうございます!私も早くあのパンケーキが食べたいな」


チュラのパンケーキという言葉にオースタのさっきまでの笑顔が消えた。パンケーキはオースタの母が作っていてオースタにはあのパンケーキが作れないのだ。


「母が戻ってきてくれれば…」


しみじみと俯いて言う。


「あのオースタさん。オースタさんのお母様がどこにいるかわからないんですか?」」


「…ええ…。母がいなくなったのはパンケーキの材料やその他足りないものを買いに行った日でした。買い出しに行くと言って家を出て、それから帰ってくることはありませんでした。行方不明者届を出したんですが一向に見つかリませんでした…」


「それっていつ頃だ?」


さっきまでおとなしかったイリスが横から口を出す。


「えっと、三ヶ月前です」


イリスはオースタの言葉を聞いたと同時にカフェをでる。そしてどこかへ走っていってしまった。

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