カフェの危機を救え! 四話

それからのイリスは不機嫌だった。よっぽどチュラのことが気に食わないんだろう。


そこまで怒らなくてもいいのに。


しかしイリスのスキルのおかげで掃除は一段と早く終わった。店内の内壁もピカピカになっている。


「あとはペンキとかを塗ればいいかな。窓も新しいのに取り替えた方がいいね。机たちも綺麗になったけど匂いとかも染み付いてると思うんだよ」


「じゃあ市場で匂いを消せるものとか探しましょ!窓も発注しておくわ」


ライはテキパキと物事を進めていく。こういうことは得意なのだろうか。それなのにどうして今までやらなかったのだろう。


しかし、人にも理由があるのだろうと聞くのはやめた。


ところで、匂いを消すものと言ったら前の世界ではスプレーなどがあったがこの世界ではどういったものなんだろう。


「この世界にも匂いを消せるものってあるんだね」


「ええ、私が見てきたものだとスキルを使っている人達が作っているの。薬品を混ぜたりだとか」


「それなら私が働いてるパン屋さんとかも使ってるお気に入りの匂い消しがあるからそれを使ってみる?」


「本当ですか!?わざわざありがとうございます」


オースタは嬉しそうに喜んだ。早速手分けして仕事に取り掛かる。


「けれど、お金はどうする?私たちが貯めた分じゃ足りないよ」


初めてのギルドで貰ったお金はさっきのパン屋で使ってしまい手持ちはほとんどない。


「それなら大丈夫。今まで貯めてきたお金があるからそこから出すわ」


[わかりました!」


「それじゃあ早速市場に行きましょ!」


チュラが元気よく言った。そんな中イリスは疑いの目をずっとむけていた。


「私の瞬間移動を使って行きましょ」


「大丈夫なの?大人数だけれど」


ルーミが心配そうにライを見た。


「これくらい大丈夫よ」


ルーミの心配を退けみんなは手を繋ぎワープした。


「ここは来たことあったから覚えてるんだよね。ここからの道のりはチュラさん、案内してもらってもいい?」


「うん!いいよ」


チュラの後を三人が追いかける。レイの脚はふらふらしている。力を使いすぎたようだ。まだスキルを馴染めていないレイの体には負担が重い。


「 ライ、無理しないでね」


ライの腕を支えながら言う。


「無理するからだ。自分の上限をしっかりと理解しておけ」


イリスが珍しくライを叱った。ライは何も言い返せず黙りこくってしまった。


「ここよ、私がいつも使っている物が売っているの」


着いたのは小さな屋台だった。おばあさんが椅子に座っている。こちらに気づくとニコッとわらいかけてきてくれた。

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