カフェの危機を救え! 三話
歩いてきたのはふろしきのかかったカゴを抱いているチュラだった。チュラは不思議そうにルーミの目の前に広がっている家具たちを見た。
「どうしたのこれ?」
「あ、実はここのカフェのお手伝いをしていて。今掃除中なんです」
「ヘェ~、えらいね!ここって確かパンケーキが美味しいところよね!結構前に閉店しちゃったと思ってたけどまた開店するの!嬉しい~あ、私も手伝おっか?今仕事終わりだから暇なんだよね」
チュラはカゴを机に置き腕まくりを始めた。それを見て慌ててルーミが止めた。
「いやいや、それは申し訳ないので大丈夫ですよ!私たちの仕事ですし」
「いいのいいの。人数少なくて大変でしょ?私も手伝うわ。それにここ、大好きなお店だから早く開店してほしいんだ!」
嬉しそうにキャピキャピしながら置いてあった雑巾を手に取り拭き始めた。
「本当にありがとうございます…」
「いいのいいの。それより貴方達って隣町から来たんでしょ?どこかオススメな場所ない?今度隣町に行く機会があったら寄りたいからさ!」
「お、オススメな場所?」
オススメな場所と言われても隣町にいたのはせいぜい2日ほど。お店にもほとんど行っていない。オススメな場所なんて特にない。どう言おうか迷った末
「えっと、パキラって言うお店がオススメです!街の中央にある店ですよ!そこのサクラって言うジュースがとってもおいしいんです!」
「へ~、パキラね!じゃあ今度行ってみよっかな!ありがとう~他にはある?」
「ん~、他は特にないかな!」
咄嗟に頭に浮かんだのはこの世界に来て初めて入ったお店。唯一店と言ったらそのくらいしか無い。
イリスが魔物を作っているのはチュラだと言うせいで、少しチュラに距離を置いてしまう。
もしも自分も消されてしまったら、という恐怖が出てきたのだ。けれどチュラのような元気で優しい子が魔物を作ったりだとか人を消したりとかするわけがない。
「そんな訳ない…」
「ん?なにが?」
心の声が声となって出てしまった。
「あ、いや、このゴミあるじゃん。これが一瞬蜘蛛に見えちゃって」
「あ~、これ?確かに蜘蛛に見えるね」
笑ってくれた。良かった、とホッとする。すると、さっきまで怒り狂っていたイリスが目の前に立っていた。
「なんであんたがここに?」
「あ、イリス、たまたま帰る途中だったんだって。それで手伝ってくれることになって」
「なんで赤の他人に手伝わせてるんだよ!」
「いいのいいの。私が勝手にやりたいって言ってやらせてもらってるから」
とイリスを宥めた。
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