カフェの危機を救え! 2話

「イリス!物を運ぶの手伝って!」


ルーミが箒で埃を掃いていたイリスを呼ぶ。


「これ全部か?」


「あったりまえでしょ!さあいくわよ。そっち持って」


息を合わせて机を運ぶ机は意外にも軽い。これなら一人で十分だ、とルーミがいいもう一つの机を運び出す。ライはオースタさっきのお姉さんと一緒に厨房をきれいにしている。


三人がこのカフェを掃除することになったのはライが言ったからだ。


「じゃあ私たちでまたこのお店を繁盛させましょ!」


「え?本当に言ってるのかお前?」


「ええ、そのために私たちは呼ばれたのでしょう?私たちはこのカフェのお手伝いをしに来た。てことは、繁盛させるのも私たちの役割でしょ?」


机に置いてあったコップがライが立ったことにより倒れる。中には水が入っていなくこぼれはしなかった。ライはそのコップを立て直し、気を取り直して言う。


「そうですよね!えっと…」


「あ、オースタです…」


「オースタさんのためにも頑張りましょう!」


とのことでこの大掃除が始まった。時刻は昼の2時。外は暑い。部屋の中にはもわぁ~んとした重い空気が漂っている。身体中から汗が流れる。


「こりゃあ一週間で綺麗にでいるか?」


「…わかんない…でもやるっきゃないっしょ!」


元気を出して作業に取り掛かる。店内には固定されたソファや椅子もあり移動ができないため雑巾で拭きまくることになった。外に出した荷物はルーミができる限り箒などで埃をはたき、店内ではイリスが真顔でソファにこびり付く頑固な汚れを取っていた。


擦っても擦ってもなかなか落ちない。手強い埃にイリスはだんだんと腹が立ってきた。そしてその怒りが爆発した。


「あぁぁぁぁぁぁぁーーー」


店内で叫び声が聞こえた。すぐに厨房にいたライとオースタ。外で埃をはらっていたルーミがきた。


そこには怒りで爆発したイリスがいた。イリスは手に持っていた雑巾を目に見えないほどの速さで擦っていた。イリスが拭いたところはさっきまで真っ黒だったがピカピカになっている。


「す…すごい…」


オースタも驚いている。


「そうか、イリスが持ってるスキル「恨み」って相手への恨みが大きいほど攻撃力が高くなるんだよね?イリスは今この埃に恨みを持ったから攻撃力が増してこんなに綺麗になったのかな」


ライが目の前で炎をあげ掃除しているイリスを見て言う。ライの推理にルーミも納得した。


「こんなところで役に立つなんて。それよりこんな綺麗にできるんだ…これが人間だったらどうなってたんだろ…」


ピカピカになったソファを悲惨な姿をしたソファを見ているような目で言った。


「…考えたくないわね…」


ライも恐ろしい魔物を見ているかのようにイリスを見守った。


「この勢いでイリスにはここの全部やってもらいましょう。私たちも持ち場に戻ろう」


ルーミは外でまた埃をはたき始めた。すると誰かがこちらに歩いてきた。見たことのあるピンク色の髪の毛ですらっとしている女の子。


「チュラさん!」

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