カフェの危機を救え!1話
「そうだったかな?小さくて分からなかった」
「俺は人より少し目がいいんだ。よくよく見たら少し似てるんだよ。目の色も髪の毛も」
「髪の毛なんてフードに隠れて見えなかったじゃない」
それまで黙っていたライが横から言った。
「いや、少し髪の毛が見えた。ピンク色だ」
「そんなの分からないじゃない。髪の毛の色とか目の色とか似てる人なんてそこら辺にいるでしょ?それにあんな優しそうな子があの少女なわけね」
ルーミがやれやれとした顔をし、歩き始める。ライもそれに着いていく。イリスは何か気に食わない様子だ。
「何かあった後じゃあ遅いからな」
「はいはい。それにあの事件には関わらない方がいいってイリスが言ったんだよ?」
「…そうだけどな…」
「まあまあ、また館に行った時にもう一度確認してみましょう。あ、あそこのカフェじゃない?」
ライの指の先には傾いた看板にボロボロな壁、カビが生えた窓、今にもお化けが出そうなカフェがそこにあった。
「え…?ここ…?」
「本当に合ってるか?カフェに見えないぞ」
「え、けど地図ではここって…」
三人とも黙ってしまった。想像してたよりも酷い光景になんで言えばいいのかわからない。
「まずは…入ってみる?」
ルーミの言葉で三人の足が動き出す。ゆっくりとドアを開けていく。
「ごめんくださーい」
返事が返ってこない。三人は中に入る。カフェの中は椅子と机がいくつか並んでおり、カウンターもしっかりとある。けれどそこには誰もいない。
「本当に大丈夫これ?」
「空き家じゃない?」
「うわ、虫の死骸…!」
ルーミが驚いて足を上げる。
「……だれ?」
すると、どこからか声がした。女の人の声だ。よくよく見ると、暗闇から人影が出てきた。
「あ、あの…私たちギルドのクエストできたものなんです…」
「…クエスト?ああ、あれか…本当に来てくれたんだね」
でてきたのは真っ黒な髪に紫色の瞳をしたお姉さんだった。
「それじゃあこちらへどうぞ」
案内されたのは薄暗い部屋。さっきの場所よりは整えられていた。椅子に腰掛けお姉さんと話す。
「あの、本当にここカフェなんですか?」
「ちょっと、失礼すぎない?」
「だってそうだろ」
「まあ、誰だってそう思うわよね。ここは、昔はとても繁盛していたのよね。けれど母がいなくなってから店の名物だったパンケーキを作れるものがいなくて…それから人が来なくなってしまったの」
「…そうだったんですか」
ライが悲しそうに言う。
「じゃあ私たちでまたこのお店を繁盛させましょ!」
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