〜初心者ギルド開設!〜10話
三人はそれぞれ食べたいパンをカゴに入れた。支払いはさっきもらった報酬から引く。50ドルもらったので三人で分けた。一人15ドルで余ったのはもしもの時に使う用として取っておく。
「あちらに食事スペースがあるからそこで座って食べていって!」
奥には椅子とテーブルが置いてある。そこに座って食べることにした。
ルーミはクロワッサンと蜂蜜の入ったロールパンにした。クロワッサンは焼き立てなのか外はサクサク、中はホクホクで美味しい。蜂蜜の入ったロールパンは蜂蜜の味がじんわりと口の中に広がって美味しかった。
ライはチーズハムサンドとシチューパン。硬いパンの中身はシチューで繰り抜かれた中身をシチューにつけ食べる。暖かくて美味しい。チーズハムサンドはチーズがよく伸びる。レイはそれが楽しいのか、伸ばして遊んでいた。
イリスはふわふわの食パン2切れを選んだ。
「イリスそれで足りるの?」
ロールパンを口に放り込みながらルーミが言う。
「ああ、あんまお腹すいてないし」
「そう」
コト
「はい、これ。水です。飲み物なきゃ喉も乾くでしょ?」
チュラが水を三人分持ってきてくれた。
「ありがとうございます。このパンほんっとに美味しいですね」
ライの口調がいつもと違う。驚きで口調が変わったのか。
「そう言ってもらえて光栄です!師匠に鍛えられたおかげです!」
チュラは嬉しそうにガッツポーズする。
「あの、ずっと気になってたんですがお客さん達はどちらからいらっしゃったのですか?」
首を傾げてチュラが聞いた。
「私たちはいせか…」
ルーミが答えようとするとイリスがルーミの口を塞いだ。
「俺たちは隣町から来た者です」
「あ、やっぱり?ここらへんじゃあ見たことのなかったから。隣町か~私も行きたいな~」
「ちょっと!なんで口塞ぐのよ!」
イリスの耳元でルーミが怒った口調で言った。
「後で話す」
そういうと
「ごちそうさまでした。俺たち早く行かなきゃいけないだろ。急ごうぜ」
「あ、確かにね。まったりしすぎちゃった」
ライがハッとして片付けを始めた。
「あ、私がやりますので大丈夫ですよ!」
チュラが慌ててライを止める。
「あ、ありがとうございます。ごちそうさまでした!」
お礼を言って店を出る。そして、パン屋が見えなくなったところでルーミが言った。
「それで?どういうこと?」
「あいつ、どっかで見たことがある」
イリスが腕を組む。
「どこかってどこ?」
「館の時のことを覚えてるか?おばさんが言っていた魔物を作る女」
イリスが言っているのは館でおばさんが言っていたスキル想像で魔物を作り、その現場を見たものは誰一人帰ってこなかった。そして、ある一つのギルドが撮った写真に映っていた少女。
「そこに映っていた女とさっきの女似てなかったか?」
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