〜初心者ギルド開設!〜3話

「まああん中から探すのは大変だな」


「でしょ~。みんなよく探し当てたよね」


「私はアヤにオススメされたの中から決めたのよ」


「俺は自分で」


「そうなんだ」


「お客さん。もうすぐ着きますぜ」


外からおじさんの声がした。窓から外を覗くと大きな壁が立ちはだかっている。


「おっきー」


馬車から降り、真下から壁を見上げる。首を90度に上げなければ全体は見えなかった。検問所へと向かい許可をもらってから壁を抜けた。壁を抜けた先には草原が広がっていた。


涼しい風が吹いている。日本では滅多に見ない光景にルーミの心は踊っていた。


「イリスとライはここにきたことがあるの?」


「私はあるわよ」


「俺は…ないよ」


「イリスも最近来たばっかりだよね。手にある星がまだ完全に消えてないもん」


イリスの手首を見てライが言う。イリスは咄嗟に隠した。


「あんまジロジロ見るなし!」


「なに、照れてんの?」


フッと笑いながらルーミが言う。イリスはカットとなって反発した。


「そんなわけないだろ!」


「はいはい、そんな怒らないの」


「お前が最初に喧嘩売ってきたんだろ!」


「こらこら、二人とも喧嘩しないの。これから一緒に戦うんだから仲良くしよ」


ミカが落ち着かせる。フンッと二人してそっぽを向いた。


イリスとルーミの間にライが入り歩いて行く。3人は一言も話さずどんどん進んでいく。


「誰か助けてー!」


どこからか声がした。三人はハッとして周りを見渡す。


「今の声聞こえた?」


「うん。助けてって」


「急いで探さなきゃ」


バッ


イリスがどこかへ走っていった。


「イリス?!どこにいくの!」


ルーミの声を無視してイリスは走る。二人もイリスの後を追った。


「大丈夫か?!」


イリスの目の先には一人の女の子が大きなオオカミに追われていた。


「イリス…!あ!大変女の子が!」


ライがイリスの横に立ち止まる。すると、イリスの横をルーミが走った。


「お、おい!」


「女の子から離れなさい」


ルーミは土を蹴って飛び思い切りオオカミを蹴った。


オオカミはその場に気を失った。ライがすぐに女の子の元へ駆けつけた。


「大丈夫?あ、血が…」


「私がやるよ」


ルーミが女の子の傷に手を当てた。するとみるみる傷が治っていった。


「す、すごい。どんどん傷が消えていく」


「もう大丈夫よ」


「お姉さんたち…ありがとう…」


「ルーミ、完璧にスキルを使いこなしてるわね」


「いや、反射的に発動できたんだ。…あなたどこからきたの?」


「向こうのほうにある村からきたの」


「じゃあそこまで送るわ。またオオカミとかにあったら危ないものね」


「ほんと!ありがとう!」

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