第7話長男・小林健太②

帰宅すると、母さんも父さんもいた。僕はシャワーを浴びた。

シャワーから上がると、父さんはベランダで缶ビールを飲みながらタバコを吸っていた。

僕は将来、ビールは飲むかも知れないが、タバコは吸わない!と決めていた。

父さんはきっと歯槽膿漏だろう。

なんと言うか、父さんの吐く息は灰皿とウンコの匂いがするのだ。

母さんが2階に夕食を運んだ。

家族全員、メモ用紙に1日の出来事を書いた。

「千紗もそろそろ、前に進まなきゃな?おれたち家族は千紗の苦悩を間近に感じている。それには部屋から出て4人で食卓を囲む事を目標にしよう」

父さんはたまには、マシな事を言うもんだと思った。


「あら、お父さん。明日は田嶋君の月命日よ。久々にお墓参りいきましょうよ」

「そうだな。行こう。健太も行くだろ?」

「うん」


「健太、お前は彼女いるらしいな?」

「うん、いるよ」

「くれぐれも、妊娠には気を付けろよ!」

「お父さん、そういう話は2人だけの時にして!」

「健太も顔赤くしてるじゃない」

「僕は、だ、大丈夫だよ」


「ま、勉強をおろそかにするなよ!」

「うん」


おれは、この家族に生まれて良かったとふつふつと幸せを感じていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る