第6話長男・小林健太

健太は有名私立高校の3年生だ。姉の千紗も通っていた。

背も高く、イケメンなんだが陰キャなのだ。

それは、いつか解決するだろう。

健太には同級生の彼女がいた。成瀬めぐみ。

付き合って2年が経っている。

千紗の事件の事も知っている。だが、あまり千紗のことを話さない健太なので、めぐみも黙っていた。

それかが久々に、千紗の話題になった。

「めぐみ。最近、姉貴とメモ用紙でやり取り始めたんだ。考えたのは父さんだけど。それでも、だいぶ前進したと思うよ!」

「健太は何て、千紗さんに何て書いてるの?」

「宿題の分からない所を教えてもらってる。僕らは文系だけど、姉貴は理系だから、この前は分数関数を恥ずかしながら教えてもらいました」

「早く、日常が戻ればいいね」

健太は、沈んだ声で、

「姉貴、夜中の3時くらいにシャワー浴びるんだ。この前、ちょうどトイレに行くと、バスルームから姉貴の泣き声が聞こえてきたんだ」

「原因はアレ?」

「多分。鏡で顔の傷を見たんじゃないかな~」

「女性にとって、顔は命の次に大事だからね」


「今日は田嶋君のお墓参り行くけど、付いてくる?」

「千紗さんを守ってくれた人だよね?私は遠慮しとく。思い出しちゃうから」

「そうか~。思い出すか~」


「健太はやっぱり、あの大学を狙ってんの?」

「うん、そのつもりだよ!」

「でも、臨床心理士とって、理系科目じゃないの?」

「ノンノン、僕は1学期まで理系だったじゃん」

「だけど、数学で17点取って、文転したんだよね。大丈夫?」

「だから、姉貴にお願いするんだ。数学と生物を教えてくれって。まだ、何とかなる」

「相変わらず、楽天家だ~」

「今度の土曜日、うち来いよ!たまには」

「うん、考えとく」


キーンコーンカーンコーン


「始まるから、また後で」

「うん」

2人は社会は地理を選択していた。

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