4.なぜフラれた?
都は愛の告白と思って有頂天になっていたところから、どん底のどん底、地底奥深くまで突き落とされた。
屋上から戻ってくる都は、フラフラと足取りはおぼつかず、危なっかしい。
案の定、階段の最後の一段踏み外した。
強かにお尻を打ち、都は悶絶した。
「痛い・・・」
都はその場に蹲った。
いつもだったら和人がすっ飛んできてくれる状況だ。
『都ちゃん! 大丈夫?! 痛くない? すぐに病院に行こうね! 立てる?』
などと、一大事とばかりに大騒ぎするところだ。
それなのに、今は誰もいない。
あのムチっとした大きな手が差し伸べられることも無い。
都は改めて和人が傍にいないことを思い知らされ、頬に涙が伝った。
さっきまで呆けすぎて、涙も出なかったが、今になってやっと涙が出てきた。
シンと静まり返った階段の踊り場で、都は一人、泣き崩れた。
★
一通り泣いた後、都は少し落ち着きを取り戻した。
家に帰る道中、なぜこのような結末に陥ってしまったのか、必死に考えた。
何か和人に嫌われるような事をしてしまったのだろうか?
それとも、単に自分の魅力が足りないのか?和人の好みの女子に仕上がっていないのか?
それとも、まさか和人に好きな女の子ができたのか?
都は悶々と考えながら歩いた。
もし、気が付かずに、和人を怒らせるようなことや嫌われるようなことをしてしまったのなら、改善の余地がある。
ひたすら謝って、二度と同じ過ちを繰り返さなければいい。
それか、高校生になって、思ったほど都が自分の好みではないと悟ったのであれば、これも改善の余地はある。
新たに和人の好ましい女子になるように努力すればいいのだ。
はたまた、別に好きな女の子ができたというのなら・・・
これは難問だし、厄介だ。
まして、同じ特進科クラスの女子だとしたら、頭では到底太刀打ちできない。
さらに自分に磨きをかけて、その女子よりもいい女になるしかない。
それに、和人を思う気持ちは、ポッと出の女なんかに負けはしない。
そういうことで、まだ自分にも可能性がある。
だが・・・。
もしも・・・、もしもだ。実はもともと都の事が嫌いだったら・・・?
本当は、生理的に受け付けないタイプの女子だったら?
今まで、立場的に仕方なく、我慢しながら都の傍にいてくれたというのなら・・・。
(もし、そうだったら、都、もう生きていられない・・・)
大通りの陸橋を歩いているとき、下を走る車の流れが目に入る。
ヨロヨロと手すりに近づき、下を覗いた。
(そうだ。もし、もしも、4番目の可能性があるなら、その時はいっそ死んじゃおう)
そんな馬鹿な考えが頭を巡り、涙しているとき、後ろから声が掛かった。
「あれ? 都じゃん。どうした? 何見てるんだ?」
都は振り向いた。
そこには、大学生の従兄の恭介が心配そうに立っていた。
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