5-3

「とりあえず二人とも落ち着いて。まず律都君の持っているであろう疑問だけど荷物とかは一旦持ちに行く。その時私たちも一緒に行くよ。そして可奈芽の持っている疑問としては律都君を泊めることだろうけど問題はないでしょ?一応ゲストルームは数室あるはずだし。」


そういい彼女は誰も断れない圧を持った笑みを浮かべた。


それを見て自分たちは断ることはできなかった。


会議という名の避難をしているといつのまにか人が雪崩出す時間になったらしく人が増えていた。


その為自分たちは教室へと向かった。


それからは何もなかった。


担任は何事もなかったかのように対応した。


それこそ以前と同じようにだ。


生活の中で必然的に一人になる時間もあったが近づいてくるどころかこっちを凝視することもなかった。


ここまで何もないのは怖いぐらいだ。


終わると同時に彼女たちと合流に我が家へ向かった。


その間小暮が現れることはなかった。


数日分の着替えと必需品、数日先までの時間割の内容をトランクに詰め簡単なトラップを張り玄関を開けた。


すると目の前には誰が見てもわかる高級車が止まっていた。


「準備している最中に呼んでおいたの。乗って」


嵯峨野さんに促され乗り込んだ。


しっかり乗り込んだのを確認すると車は動きだした。


何度も曲がると嵯峨野家の家に着いた。


それはあまりにも大きかった。


しかしこれは現在可奈芽の家として使用されている別邸なのだ。


嵯峨野さんの住む家はこの倍は軽くあるらしい。


「とりあえず入って。部屋へ案内するわ。」


可奈芽が入っていくので自分も着いていった。


案内された部屋は大げさだが自分の部屋の数倍はあった。


「とりあえずここは自由に使って。ご飯は後で案内するけどリビングで。それとお風呂だけど私がご飯前に入るからご飯の後はいつ入ってもいいわ。」


場所は後でといい話が終わると可奈芽と嵯峨野さんは部屋から出て行った。


色々ありすぎて自分は目の前のベッドに体を預ける。


「はぁ、なんか凄い事になってしまったな…。あの事件はあれで終わったはずなのに…。予定通りであれば今学期だけは安寧だったのに…。」


というかこの数週間で色々起こりすぎている。


普通ならこの時期は大学受験に向けて勉強している頃だ。


もしくは指定校推薦に向けて小論文や面接の練習をしている頃だ。


自分の学校は付属校のためこの全てをやる必要はないけどそれでも大学に行った後遅れないように勉強し続けるべきだ。


それと同時に残り少ない高校生活を友達やクラスメイトと一緒に思い出を作るはずだった。


それが事実は小説より奇なりとはよく言ったものだ。


現実はたった一か月以内に彼女(未遂)ができてストーカー&強〇されて、挙句の果てに女子の家で保護されるとは…。


これがフィクションだったらそれこそ面白かっただろう。


しかし現実に起こるとキツイことこの上ない。


そう考えていると扉があいた。


「あのさ、みっちゃんから軽くは聞いたけどどういう事なの?現実離れしすぎていて訳が分からない。」


「分かった、すべて話すよ。犯人は知っての通り同じクラスの小暮ってやつだ。そして流れとしてはある日帰ろうとすると原付で追いかけてきたんだ。その時は偶然同じ道だったのだろうと思っていた。そして最初の投函物が入る。郵便受けに髪の毛が入っていた。その次に学校の下駄箱にまだ温かいパンツが入っていて次にブラ、写真と続々入っていった。同時に郵便受けにも手紙などが投函され気持ち悪いことこの上なかった。勿論吐いたこともあったよ。そしたら深夜、寝ていると小暮に押さえつけられ強〇された。その時は証拠になるものが残ってなかったため通報することはできなかった。それから嵯峨野さんと計画を練り小暮を捕まえようとした。一回目は失敗したが本命の二回目は予定通り成功して警察に引き渡せた。そして処罰としては特別な刑にならなかった。小暮の家と学校が有耶無耶にしたのだろう。前科がつくよりましだと考えたのだと思う。それでも処罰がないわけにもいかないと思ったのか今学期中の謹慎で終わってしまった。これが事件のすべてだよ。まぁ流石に一部ぼかしたところもあるけどこれで全部。」


「うん…。すべてわかったよ。それだけの事があったらこうもなるか。ごめんね?顔色悪いよ。本当にごめん。」


可奈芽はそういい背中をさすってきた。


自分では気づかなかったが相当顔色が悪かったらしい。


「ご飯まで寝てて」そういい布団をかけてきて可奈芽は部屋から出て行った。


自分もお言葉に甘えて寝ることにした。


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