第4章「彼女(未遂)+転校生(従妹)」

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第4章「彼女(未遂)+転校生(従妹)」


それからというもの何事も起きず数日が経った。


小暮は今学期中の謹慎処分で済んでしまった。


ここから先は小暮由来の被害はないと考えていいだろう。


しかし厄介ごとというのは度々起こるもので今、目の前には彼女(未遂)ともうひとりの女の子がいた。


話は少し遡って今日の朝。


それは突然現れた。


「城南高校から転校してきた嵯峨野可奈芽です!ほんの少しの間ですがよろしくおねがいします!」


そういい二人目の嵯峨野を名乗る女子は頭を下げ担任に指示された通りに席についた。


それからはよくある質問タイムで彼女は困ったような顔をしていた。


自分は特別興味が無かったためいつもどおりの寝たフリ兼彼女(未遂)待ちをしていた。


「律都君いる〜?ってゲッ...!」


そういい彼女(未遂)は嫌な顔をして立ち去ろうとした。


「あっ、みっちゃんだ。おはよう!」


転校生の方の嵯峨野はそう呼び止め追いかけていった。


彼女(未遂)は立ち去る際に自分に「付いてこい」の合図を送っていた。


一応付いていくべきと思い自分も追いかけるも途中からどこに行ったのか分からなくなりとりあえずいつもの原付置き場に向かった。


やはり彼女はそこに居て自分の原付の影に隠れるように座っていた。


「やっと見つけた...。で、どうした?転校生と何かあったのか? 」


「何かあったも何も気づかない?」


「名字が同じ事か?」


「その通りよ。可奈芽は私の従妹で昔っから一緒に居たのだけど正直反りは合わなくて苦手なのよ...」


「それでゲッって言いながら逃げたのね」


「そういう事。だけど君と話したいから付いてこいって言ったのよ」


「なるほどね。ところで目の前の扉から出ようとしてるのって...」


「可奈芽ね...。マズイ!気づいた!」


彼女が逃げるより先に転校生は自分達に追いついていた。


「やっと、みっちゃん見つけた!ところで隣の男子は誰?」


「あー、えーと自分は...」


そう言いつつ立ち去ろうとすると彼女(未遂)が裾を掴んできて離さない。


結果として自分はこの従姉妹同士の会話に(強制的に)付き合わされることになったのである。


これで回想は終わった訳だけどどう逃げようか。


それからというもの彼女達はずっと喋り合い、自分にもずっと質問してくるという地獄を味わっていた。


彼女(未遂)は嫌な顔をしながら逃げようとする度に自分を捕まえ離さなかった。


これではどうにも出来ず諦めて質問に答えるしかない。


転校生の方はずっと楽しげに笑って止まりようがなかった。


しかし本当に笑っているようには見えなかった。


流石に閉門時間には開放された。


彼女(未遂)はこのあとも話を聞かされるのだろう。


敢えて言わせてくれ、ご愁傷様です....。

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