うわさ探偵、噺構成の推理劇。
山岡咲美
うわさ編
うわさ好きの二人の女子が教室の机を前後に挟んでうわさ話してる。
「
「牛の刻
「牛じゃ無くて丑、丑三つ時の丑、それから祭りじゃ無くて参り!」
「焼き肉バイキングのタイムセールかと思ったよ」
「違う違う丑三つ時って言って、午前二時から午前二時三十分にね、
「二時から二時三十分って細かいよ、いろいろ食べれない計画たてて準備万端整えなきゃ」
「焼き肉バイキングわすれろ!!」
二人は中学のセーラー服を「ケタケタ」と揺らし笑った、この物語はそんな日常から始まる。
********************
同じ学校、同じ階にある二年生の別教室で同じくセーラー服の女子が学ランの男子を窓際に追い込み話かける。
「ねえ知ってる
「丑の刻参りだろ? 馬鹿馬鹿しい」
「でも呪いだよ、呪い、恐くない?」
「
「だって信じた方が楽しいじゃない? 不思議な話って」
「そうか?」
彼女、
********************
二年生の教室のある二階のトイレの前でまた女子がうわさ話をしている。
「三年生の女子が一人学校で
「気分悪くなって救急車で運ばれたんだって」
「なんか藁人形の話してたら突然青くなって倒れたみたい」
「呪われたのその人なん?」
「そうだよ、そのあと入院して学校来なくなったんだもん」
「いや、なんかマジ恐いんですけど」
今二年生の女子では三階の三年生から遅れて伝わって来たこの話がトレンドとなっていた。
********************
集目と構成の話は続いている、構成は自分の机戻ると肘を付きなんとなく横の机に陣取った集目の話を聞く。
「それでね構成、藁人形の話してて倒れた
「もしかしてそいつが呪われたって話になってんのか?」
「凄い!! 当たり!! なんで解ったの構成」
「そりゃ丑の刻参りがあって倒れればそんなうわさもたつだろうさ」
「やっぱ呪いって恐いね」
「呪い?」
「だってそうでしょ?」
「その先輩ってどんな人?」
「年上の女子にご興味が?」
「呪いを受けるような人だったのかって事」
「そうねモテモテ美人さんよ、モテモテ美人の
「ふーん」
構成は机に頭をペタリと付けて何かを考えていた。
********************
放課後の下駄箱は夕日を浴びて赤く染まり生徒の数は閑散としているがここでもうわさは絶えない。
「御神木枯れたんだって……」
「呪いの三坂神社の?」
「釘とか刺されたからかな?」
「呪いのせいかも?」
「酷いね丑の刻祭りの犯人」
「ホント自然を大事にだよ」
丑の刻祭りのうわさは広まり枯れた御神木を
********************
構成は集目の話に少し驚いた様子で机から身をのりだし集目の方を見る。
「木が枯れた? 何で??」
「呪いで力を使い果たしたんだよ」
「古い木なのか?」
「そりゃ御神木だし」
「枯れかけの木だった?」
「ううん、百年くらい前に雷が落ちて接ぎ木された樫の木だけど、元気な木よ、だって私小学校の頃はラジオ体操でよく行ってたけど、
「他に変な事は?」
「興味あるの?」
「ちょっと出て来た」
「そうね、なんかしばらくキラキラって光ってて、そのあと突然枯れたらしいよ、みんな呪いで力を使い果たしたんだってうわさしてるわ」
「あ、そういう事、で、入院した先輩、そのモテモテ美人の茂木先輩はどうなったんだ?」
「そう言う事? それってどういう事?」
「集目さん、その先輩はどうなったの?」
「ああ、退院したみたい、木が枯れて呪いがとけたんだってうわさになってる」
「彼氏は?」
「彼女が呪われたとたん別れたっぽい、その男子最低でしょ」
「ふーん」
構成は何か興味を持ち何かに気づいたんだと集目は確信した。
********************
女子バスケボール部のロッカールームで着替えもそぞろに二年生が話、一年生が耳をそばだてている。
「三坂神社の神主さん、神社辞めちゃうらしいよ」
「御神木枯れちゃったから?」
「うんそれにね、神社の娘さんうちの三年生だったんだけど御神木が枯れたあとから学校来なくなって大変みたい」
「今度は娘が呪いにかかったの?」
「いや、その神社自体が呪われたんじゃない?」
「怖いね、呪いとか本当にあるんだね」
そしてこの話は一階の一年生女子の間でも広がり始めた。
********************
集目は椅子から立ち上がると手をパンパンと払うように叩き構成の方を見下ろした、構成は不思議そうな顔で集目を見上げる。
「でオチは、呪いで不幸が起まくってその中心にあった神社が無くなるって話なの」
「神社は被害届けを出さなかったのか?」
「被害届け? 何で?」
「何でって三坂神社の学校休んでる先輩はともかく三坂神社自体は被害者じゃん」
構成は当たり前のように三坂神社の先輩はともかくと言った、それがこの呪いのうわさ話の核心部分だった……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます