第4話 直接
樹さんとDMでやり取りをしているうちに、私と樹さんと2人だけで会うことになった。
きっかけはなんてことない。
「樹さんとお話をしていると楽しいです! 本当にいろんなことを知っていらっしゃるんですね!」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。 もし良かったら、今度2人で会って直接話さない?」
私は「2人で会う」という言葉にドキッとした。陽人と出会う前は、マッチングアプリで何度か男の人と2人で会って話すことはあったが、私は人と話すことが苦手なので回数は少ない。私の緊張が伝わっているのか、会う人会う人、会話が続かないし、相手も続けられなさそうにしているのが目に見えて分かった。
なので、もし2人で会っても、樹さんにも陽人以前に会った人たちと同じ思いをさせてしまうのではないかと不安に思った。
だが、せっかくの樹さんのお誘いを断ることは、樹さんにも悪いしこれから先も友達として付き合っていく上で、自分の中で良くない思い出として残るのは嫌だったので、「お誘い嬉しいです、ありがとうございます! 樹さんはどこらへんの場所が来やすいですか?」
と返信した。
「僕は横浜の方に住んでいるから、都内にも出やすいんだ。だから、都内に住んでいる香菜ちゃんが来やすい場所でいいよ!」
樹さんの方がが移動距離が長いのに、私が行きやすい場所でいい、と言ってくれるなんて、なんて優しい人なんだろうかと思った。
考えて話た末に、池袋で会うことになった。
樹さんと2人で会う日が決まってから、私はそわそわしっぱなしだった。
どんな格好で行こうか、ヘアスタイルはどうしようか、などを当日までずっと考えていた。
まるで、好きな人に会う女の子のように。
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