第7話



結局、あのワンちゃんと遊んでいたら、30分遅れの電車になってしまった。


ワンちゃんには会うことができたけど、学校、間に合うかなぁ。


濡れたリュックを降ろし、中からスマホを取りだし、カバーを開けると、少し濡れた指で画面をタップする。



〈 ちょっと遅れるね、もしかしたら遅刻かもしれない!!! 〉



さよにメールを送った。



いつもの時間帯と違って、雰囲気がなんとなく違う。



乗客も少なめだからかな、ところどころ座席も空いていて、だからよけい目立ったのかもしれない


男性の会話が自然と耳に入ってきてしまう。



「…… 何かあったのか? 」



「 べつに 」



「 どう見ても変だけど 」



「 なんもない 」



「 ケンカとか?」



「まさか… 水溜りで車に飛ばされてさ…」



「 そういうこと…」



…ケンカ?…


…くるま?…



目線を少しづつ上げて、その声の方に移してゆくと、制服姿の男性がふたりで話しているのが見えた。



学生らしい



1人は肘を曲げ吊り革に、もう1人はその生徒の前の席に座っている。


座っている方の生徒が上を見ながら、話していた。


…あれは…


あのストライプのネクタイは、うちの学校の制服っぽいようだけど


…よく見えない…


同じ学校の生徒だと思ったら、ちょっと気になって、じっと見入ってしまった。



あ!


どうしよう…


その男子と目が合ってしまったようで…




たぶん



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