第6話



「 ワンちゃん!!?いま降ろしてあげるからね…!?」


つま先立ちになり、手を伸ばして子犬を降ろそうとしたけれど、この背丈ではぜんぜん足りない、ニックネームで、チビって言われているだけの事はあるかな


でも、どうして?



「ワンちゃん?…あなた、どうやって登ったの?」


見たところ橋桁の隙間の所までに行く道はなく、断崖絶壁…まさかボルダリング? はは…



深く考えるのはやめよう、毛も濡れてなさそうだし、とりあえずはひと安心だね



よかった…



あッ。。。



よくない!



「たいへん!…また 学校ッ!、忘れてた!!」



「アンッ アンッ!」



「はいはい わかりました! 行ってきまーす!」



走り去ろうとした時だった。



カツッ




ローファーの先っちょに何かが当たった。



拾い上げてみると、それは桜色に光り輝く、まるで宝石のような半分に割れたハートだった。



綺麗…




「アンッ!アンッ!アンッ!」



「まさか、これ ワンちゃんの?」



「ウ~ッ アンッ!!」



「そんなわけないよね 、わかったから、今度はほんとに行くから じゃあねッ!」



私はワンちゃんにせかされるように、駅へと向かった。

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