第5話



ーーー


あのワンちゃん、無事だといいけど、やっぱり心配!


私は駅に背を向けると、急いで引き返した。


しだいに風も強くなり、横殴りの雨に変わってきている。


早く行かなくちゃ!


息がきれてきたころ、ようやく川沿いにたどり着いた私は、モフモフの子と出会ったあの場所を探した。




この辺りだったかなぁ



何処を探してもいない



「 お~い!」



さっきまでいたのに



どこ?



しずくが飛びちる草をかき分け、あちこち探したけれど、あのこはいなくなっていた。


どうしよう! あのワンちゃん、濡れてしまっているかも


飼い主さんと一緒に帰ったのならいいけど



!?…



私は立ち上がると、川面を上流から下流まで見渡した。



まさか



だんだん不安になって来た。


そうだ! 上のほうからなら見つかるかもしれない。


橋の近くまで来ると、微かに鳴き声が聞こえてきた。



「 くぅん くぅん…」



「 ワンちゃん? どこにいるの? 」



上の方から小さな鳴き声が聞こえる



いた!



「 ワンちゃん!」


「 アンッ!」



橋のコンクリートの台と橋桁の隙間で、モフモフのしっぽを振りながら、私を見ている白いワンちゃん。



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