第4話



あっ



全身白いモフモフの毛で覆われた、小さな犬のぬいぐるみが置いてあった。


?…


近づこうとすると



「 アンッ!!!」




「 うわッ! 本物のワンちゃん? 」


まんまるお目々に、口からピンク色の舌をチョピっと出して、しっぽをフリフリしていたのだ。


「 かわいい! 」


私はそこにしゃがみ込んで、両手を広げた。


「 おいで! 」


「 アンッ! 」


子犬は、吠えながら私の胸めがけて飛び込んで来た。


抱き上げると、ペロペロと顔を舐め回してくる。


「 ひゃぁあ〜んッ! くひゅぐったい… 」


とても小さなワンちゃん、でも、 なんでこんな所にいるんだろう。


辺りを見回してみても、他には誰もいない


「 きみ 迷子? ここで、なにしてるの?」


そのうち飼い主がくるのだろうか



それとも…



ううん、そんなことない



幸せな方に決まってる!



「 お迎えがくるまで、ちゃんと待っているんだよ! 」


「 アンッ!アンッ!」


「 ふふっ 」


なんて、こんなことしてる場合じゃない!


私、通学途中だったんじゃないですか!?電車に間に合わなくなっちゃう


「 ごめんね、遊んでいたいけれど時間が無いの、バイバイ!」


ワンちゃんにさよならを告げ、私はその場所から走り去った。


駅に行く途中、ワンちゃんのことばかりを考えていた。


首輪がついていたから大丈夫だと思う。


でも、迷子になってしまったら…



ひとりぼっち なんて



ありえない

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