4. 屋上での話
「おーい、さ…」
「みーずゆーいくーんっ!昨日やってたクイズ番組さ、ホントに面白かったよね⁉…」
「沙希、あのさ…」
「瑞結くんっ!部活どこ行くの?…」
「沙希、図書か…」
「瑞結くん、放課後どこ行くの?」
あーもうっ!
私は今猛烈に苛立っている。
もうっ、麻結花ちゃん‼
駿夜が声をかけてくれるたび、麻結花ちゃんが邪魔に入るの!
もう嫌だ!
こんな毎日が二週間くらい続いてるの!
図書館に行っても、麻結花ちゃんがついてくるし!
『あの』話を聞いてしまった私は、苛立つと共に悲しくなってくる。
やっぱり駿夜は、私みたいな人とは釣り合わないし。
麻結花ちゃんのほうが好みなのかも……。
――――――――――――。
んんんんんんんんんんんやってらんない!
そんな後ろ向きなこと考えたって、邪魔は入ってくるんだから!
もう、突っ込んじゃえ!
そう思った私は、置手紙で屋上に呼び出した。
…ついでに名前なしで。
ガチャ…
遂に放課後が来て、私は屋上で麻結花ちゃんのことを待っていた。
「…え…なんで、梶平さんが…?」
「私が、まゆ…あ、頼代さんを呼び出したんだよ」
「え…?なんで、私なんかを……」
私は深呼吸をする。
こんなこと言うのは緊張するけど…。
――よし!
「頼代さん、なんで私の邪魔をするの?全然、責めてはないんだけど、なんか、私駿夜が話しかけるたびに割り込んでくるの、気になるの」
…い、言ってしまった!
こんな口調で言っても、困らせるだけ…!
謝ろうとした、その時。
「梶平さん、ごめんなさい!私、瑠海と莉南にすすめられて、邪魔したらいいんじゃないかって…あ、そう言えば…あの、私……」
…麻結花ちゃん、それは良く知ってるよ。
顔真っ赤になってるけど、二週間前から知ってるからね。
「み、み、瑞結君のことが、す、すすすすす……好きなの――――!」
あは、恥ずかしがる時に噛むのも、前と変わってないなあ。
私は、驚いた風を装う。
「え、そ、そうだったの!ならごめん!」
「いや、私のせいなの!私が瑠海と莉南が言ったことをうのみにしちゃったから…これからはやらないから、許してくれませんか?」
「敬語じゃなくていいし、許すよ!」
「あ、ありがとう――!」
ふわって笑うその顔も変わってないね――。
喉まで出かかったその言葉は、胸の奥底に閉じ込めておいた。
…この言葉は、あの行事の時に――!
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