3. 恋のライバル

次の日。普通に登校した。

昨日のように、普通に勉強して、駿夜と天体観測部を見に行って、そのまま帰るという、ルーティーンのはずだった。

なのに。


「ねえ、瑠海、莉南、瑞結くんって、かっこいいよね?」

「うん。学校一モテる気がする」

廊下を歩いていると、そんな声が聞こえて、私は思わず物陰に隠れる。

え、もしかして、じゃなくて、もしかしないけど…!

「あのね。言っちゃうんだけど、私、瑞結君のこと、好きなんだ……!」

「…ッ」

私は思わず息を吞む。

最初からそうだとは思ってたけど、すぐ近くでそんなこと言わないでよ…!

「え!そうなの!応援するよ!」

「私も。頑張って」

会話をしているのは、クラスメイトの女子。

瑠海、と呼ばれたのは、クラスの女子リーダー的存在、佐藤瑠海さとう るか。佐藤さんが言った言葉に何故か男子女子問わず従ってしまう、という伝説があるんだよね。怖い。

莉南、と呼ばれたのは、学級委員長の笹川莉南ささがわ りな。小学生の頃からずっと学級委員長をやっているしっかり者。

だけど、しっかりしてるんだけどね。佐藤さんの味方なんだよね。もう、なんでだろ。

そして…。

肝心の、駿夜が好きだと言っていた子。

頼代麻結花よりしろ まゆか

クラスでは目立ってないけど、私は知ってる。

…何故かって?

…そ、それは。

小さい頃に、いっぱい遊んだことがあるから。

暇さえあれば公園に行って、一緒にブランコしてたのに。

麻結花ちゃんと遊んだ記憶は、多分あの子には、もうない。

それに、麻結花ちゃんと、好きな人が被るなんて……。

私は、もう駿夜を独り占めできないんだ…。

私はもう何も考えたくなくて、賑わう廊下の中を走り出した――――。

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