命
「リヒト。ルワカナも毎日一生懸命自分と
私は息を吸った。
院内に
なんだか力を
「リヒト。
「え?」
リヒトはキョトンと私を見上げる。リヒトとレノン、2人の頭に手を置いて私は言った。
「レノンもよく聞きなさい。今はわからなくてもいい……でも必ず覚えておくこと。昔はね、今よりも
そしてこの子達は何よりも、困難に立ち向かい人を思いやれる素晴らしい才能を持っている。
「でも確かに、平和な世界じゃないとこの子達も生きて
それから、私は最後に静かに言った。
「もちろん、
リヒトは立ち
「私達はみ~んな家族よ。1人で
「はい」
リヒトは涙を
「カッコさん、ありがとう……」
その笑顔は、私が今まで見てきたリヒトの笑顔の中でも、とびきりの柔らかい笑顔だった。
───良かった。やっとホントの笑顔を見せてくれた。私達の心は少しでもリヒトの心を温めることが出来たかしら。
───リヒト……安心なさい。
「ブゥゥゥゥゥッ!」
間もなく、ルビーノが白目を向いて鼻血を
「結婚して下さい……。結婚して下さい……」
ブツブツと
───あ、ええっと……いいや。とりあえず無視。
やがて1人、2人と、リヒトの涙に気付いた広間の子ども達が近くへと集まってきた。
「大丈夫?」
「お兄ちゃん泣いてるの?」
「どこか痛いの?」
この子達は、本当にみんな優しい子達ばかりだ。
「ううん、ありがとう。大丈夫だよ」
リヒトは首を横に振って静かにその子達に笑った。
その
「一緒に遊ぼ」
初めて見たものに驚く様子で、皆その
その子達と連れ添って、レノンもリヒトの手を引いて広間の奥へとゆっくり駆けていった。
───はぁぁぁ……やめてよアンタ達。なんだか私が泣けてきちゃうじゃない。
南のビルオレアでもクラウディアの冬風は冷たい。それでも
リヒトを元気づけるつもりが、逆に私がたくさんのものを
広間で輪を作ったリヒトや子ども達を見て思わず笑みが
───晴れやかだわ……。
窓の向こうの空は、透き通るくらい綺麗な青色で皆を見守っていた。
その後、ピアナ様達と合流した私達はセイリオスの『ソリブ』へ向かう馬車に揺られた。
ルビーノも連れて、私達に
イータ師長に怒られるからお酒は
ルビーノも早目の退勤に子ども達の事を心配そうにしていたけれど、ピアナ様からの「
「安心しきった寝顔だね……」
リヒトとレノンは遊び疲れて、セイリオスに向かう車内で私にもたれ掛かってうたた寝をしている。
その様を見つめてピアナ様は微笑んで静かに言った。
「一体どうやったんだい?今朝とは見違える様にスッキリした顔だったよ」
私達の力じゃない。リヒトに元気を分けてくれたのはあの子達だ。私達がどれだけ頑張ってもあの子達の力には敵わない。
私は意味深に微笑むと、2人を起こさない様に向かいのピアナ様に静かに返した。
「私は何もしてませんわ。1人じゃないよと伝えただけですもの」
その隣でルビーノも嬉しそうに笑った。
院を
ルワカナの部屋はまだ
一瞬、中から鼻を
ルワカナは泣いていたのかしら。
私も心に響くものがあった。皆の想いがちゃんとリヒトに届いていたんだって。
この時のリヒトの言葉は、
ルワカナ……リヒトだよ。
久しぶり。ルビーノさんから色々聞いたよ?ルワカナ、頑張ってるって。
僕もたくさんのことがあったんだけど……。ごめん。僕らの約束、1つ破っちゃった。
右手の
あれだけ約束してたのに、破っちゃった。本当にごめん。
いつかルワカナが元気になって会ってくれたら、その時は怒るかな……。
でも僕はこれから、僕らの居場所のために、皆の居場所のために、たくさんのことを背負っていきたいと思う。
もう迷わないよ。皆が教えてくれたから。僕らはいつでも一緒だって気付かせてくれたから。
会えなくても、どんなに離れていても、僕らはずっと繋がってるよ。
また会える日まで、ルワカナ、いつまでも待ってるからね。
必ず待ってるからね。
それじゃ……また、いつか……。
元気でいてね。
いってきます……。
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