皇国の罪人

カッコの資格解説

ええと……皆さん、話が少し横道（よこみち）に逸（そ）れてしまうんですけど……。

医療先進国クラウディアの看護師や医師の資格には、

クラウディアが国として認定して発行する『皇認（こうにん）免許（めんきょ）』

スルグレアなど各地区が認定して発行する『地区（ちく）免許（めんきょ）』

この２つがあるのです。

学術院高等科の卒業を控（ひか）えて医療に携（たずさ）わりたい人は各地で医療研究院を受験します。

看護師になりたい場合、その看護科を受験して合格すれば３年間在学。その間に実際の医療院での実務研修も義務（ぎむ）付けられていて勉強と平行して３年間現場で教えて貰（もら）います。

それを全（まっと）うして初めて『地区看護師免許』の試験が受けれるワケです。

そこに受かれば晴れて地区看護師。『地区（ちく）看（かん）』って呼ばれていて一応クラウディア国内どこにいってもお仕事は出来ます。

でもね、聞いて聞いて！皇認（こうにん）看護師とは待遇（たいぐう）が雲泥（うんでい）の差なの！

させて貰（もら）えるお仕事も変わってくるし、嫌な上司や医師がいたらイジメられることだってあるのよ？

それに対して皇認（こうにん）看護師といえば一目（いちもく）置かれます。

その資格（しかく）所持（しょじ）難度（なんど）は他の国の医師クラスとまで言われてるのです！

地区看護師試験とは別に皇認（こうにん）看護師試験として毎年行（おこな）われています。

でもそもそもクラウディアでも指定された超難関（なんかん）の５つの皇立（こうりつ）医療研究院看護科に入学した人しか受験出来ないの。まさにエリート！

その人達はまさに皇認（こうにん）看護師になるべく育てられて４年の在学と研修を経（へ）て皇認看護師の受験資格が貰（もら）えます。

在学中の３年目についでの様に地区（ちく）看（かん）の免許も取っちゃうみたいだけれど。

そんなエリートの子達で現役合格率は７割ちょっと。受かれば晴れて皇認（こうにん）看護師、『皇看（こうかん）』です。

でもそこで落ちて地区看だけを持っている子は落ちこぼれの『落（お）ち看（かん）』て呼ばれて、頭は良いのに普通の地区看よりさらに肩身（かたみ）が狭（せま）いから死ぬ気で再受験するみたい。

再受験者の合格率９割がその必死さを物語っています。

てか、小さい頃からラズリ様の教えを学んでおきながら、人をバカにしたりイジメたりする奴なんて格好悪いわよねぇ？

ちなみに５つの指定の看護科出身でなくても、地区（ちく）看（かん）の免許を持って３年以上の職務（しょくむ）経験があれば皇認（こうにん）看護師試験の受験が許されます。

これが、さっきチラッと話に出てきた『飛び込み受験』です。

でもこれがまたまた……受かる人がいないのよ……。

そう！わたくし、カッコ・アヴェイユ！こう見えてこのクラウディアで史上唯一の飛び込み受験合格者！

ただ１人、地区（ちく）看（かん）から皇看（こうかん）になった女なのです！えっへん！

プライド社会だから、正直（しょうじき）飛び込みからは受からせたくない圧力もあると思います。試験もクソ難しかったけど、無敵のカッコちゃんは逆に燃えたのです！

というワケで、ルビーノは看護学生時代の後輩だから地区（ちく）看（かん）。私に憧（あこが）れて今も皇認（こうにん）看護師試験を飛び込みで頑張って受けている様です。

説明が長くなりました。以上、クラウディアの看護師試験についてでしたぁ。

余談（よだん）。

皇認（こうにん）医師と地区医師の間はもっとギスギスしているらしい……。